BEATLESのアナログ盤

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HEY JUDE

今回は1970年にUSアップルからリリースされたコンピレーション・アルバム、 『ヘイ・ジュード』をご紹介しましょう。

詳しい解説についてはほかのサイトをご覧いただくとして、概略だけを述べておくと、 69年1月から始まった『ゲット・バック』セッションが惨めな結果に終わったあと、ビートルズのメンバーの関係は 以前にもましてギクシャクしたものになりました。
それを決定的にしたのが、アラン・クラインの登場です。
多額の負債を抱え始めていたアップル・コープ再建のために、 ポールが自分と姻戚関係にあるジョン・イーストマン(リンダの兄)にマネージメントを任せようとしたことに ジョンやジョージは反発、当時ストーンズのビジネス・マネージャーを務めていたアラン・クラインを 財務担当に据えます。
こうして首尾よくマネージャーに納まったアラン・クラインの指示でリリースされたのがこのアルバムです。




ジャケットの写真は、ジョンが新しく買ったティッテンハースト・パークの邸宅で69年8月22日に収録されたもの。
あの有名なアビー・ロード・スタジオ前でのジャケット撮影の翌々日で、 これが4人が揃った最後のフォト・セッションになりました。
撮影は『レット・イット・ビー』ボックスにセットされていた写真集『ゲット・バック』を撮った イーサン・A・ラッセルですが、デザイナーともどもジャケットにはクレジットがありません。
フロント・カヴァーにはタイトルもアーティスト名もなく、スパインにTHE BEATLES ・ HEY JUDEという表記があります。

別テイクの写真などを見ると、4人とも和気藹々と楽しそうで、険悪な雰囲気など覗えません。
ジャケットの写真は4人の頭上の窓の部分に別の写真が組み込まれていることもわかります。

なお、この画像は こちらのサイトからお借りしました。

スリーヴは例によってコーティングのない厚紙製のもので、バック・シールデッド・スリーヴになっています。




バック・カヴァーの一番下にはニューヨークのブロードウェイにあった米アップル社のクレジットがあります。
カタログ・ナンバーはSW-385で、1970年2月26日にステレオ盤のみリリースされました。




よく知られているように、当初このアルバムは『THE BEATLES AGAIN』というタイトルがつけられ、 カタログ・ナンバーもSO-385となっていました。
1stプレスでは、レーベルが訂正されないままリリースされています。

おなじみのUSアップル・レーベルですが、『ホワイト・アルバム』から『アビイ・ロード』までのレーベルと違って、 Side-2にキャピトルのロゴがありません。

インナーは白いプレーンなもので、これがオリジナルのようです。

さてもう1枚ご覧いただきましょう。
こちらのほうが珍しいかもしれません。




これは2ndレーベルで、プリフィクスはSWに訂正されていますが、 タイトルはAGAINのままです。

2枚のトレイル・オフの部分を見てみましょう。




左が1stプレスです。
マトリクス関係はSide-1がSO-1-385 Z-24で、8時の方向に2、4時の方向にBell Soundとカッティング・ エンジニア、サム・フェルドマンのイニシャルであるsf の刻印があり、 2時の方向にLAプレスであることを表すアスタリスクのようなマークがあります。
Side-2はSO-2-385 Z-23で、同じように8時の方向に2、 4時の方向にBell Soundsf の刻印もあります。

右は2ndプレス。
マトリクス関係はSide-1がSOを訂正したSW-1-385 Z-32 #2、 Side-2は同じくSOを訂正したSW-2-385 Z-36ですが、それ以外の数字はありません。
両面に1stプレスと同じようにBell Soundsf の刻印があります。
プレスはヴァージニア州ウィンチェスターで、Yの字の上を閉じたようなマークがついています。

ではつづいて、UKエクスポート仕様の『HEY JUDE』をご覧ください。




英国ではこのアルバムは1979年までリリースされませんでしたが、 UKアップル・レーベルのエクスポート仕様のアルバムがかなりの数輸出されたようです。




表裏ともヴィニール・コーティングの施された美しいラミネート・スリーヴで、 バック・カヴァーの最下部にはE.M.I. Records, England のクレジットがあります。
Garrod & Lofthouse社製で、そのクレジットの右には CPCS 106というカタログ・ナンバーも書かれています。

またスパインだけではなく、天の部分にもタイトルとレコード番号が記載されています。





レーベルはこちらもおなじみのライト・グリーン・アップル、レコード番号の下に記載されたマトリクスは YEEX. 150という輸出仕様になっています。
レーベルに記載されたタイトルは「HEY JUDE !」で、なぜかイクスクレイメーション・マーク(!)が ついています。
なおポールの友人さんによると、このエクスポート仕様、当時英国国内でも販売されていたそうです。
トレイル・オフの刻印はSide-1がYEEX 150-1/ 2/ RH、Side-2がYEEX 151-1/ 1 /RP というアーリー・プレス なのですが、1stプレスはダーク・グリーン・アップルだったという情報もあります(未確認)。
インナー・バッグは白のプレーンなタイプで、UK PATENT No. 1,125,555というクレジットがあります。

US盤とUK盤の音を比べてみると、US盤のほうはややハイ上がりで抜けはいいのですがちょっときつい音、 UK盤のほうがバランスがとれていて繊細で美しい音という印象があります。
どちらも低域の量感がたっぷりと出るような音作りではないので、「ヘイ・ジュード」のような バラードならUS盤もいいのですが、「レイン」や「レヴォリューション」といった、 ジョン入魂のロック・ナンバーはUK盤のほうが魅力的なような気がします。

なお、この記事を書くにあたって、『レコード・コレクターズ増刊 ザ・ビートルズ コンプリート・ワークス 3』 (2001年 ミュージック・マガジン社)を参考にさせていただきました。

© 2005 ryo_parlophone




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