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ABBEY ROAD

(catalog number) MFSL-1-023
(release date/Box Set) Sept. 1982
(release date/ Series ) Dec. 1979
(release date/UK Export) Mar.1987

映画『レット・イット・ビー』の撮影が始まったのは1969年1月2日からですが、あの映画を見ていると 「オー・ダーリン」や「Maxwell's Silver Hammer」「Octopus's Garden」といった 『アビイ・ロード』の収録曲が演奏されています。
つまりおそろしく散漫なアルバム『レット・イット・ビー』と、これまたおそろしく緻密に構成された アルバム『アビイ・ロード』は、ほとんど連続してリハーサルされ録音されていったのです。
いやはやそれにしてもなんというバンドなのでしょう。
ふつうだったらアルバム『ゲット・バック』が未完のまま放り出された時点で、バンドは解散です。
そのあともメンバーはスタジオに集まり、ジョージ・マーティンをプロデューサーに据えて奇跡のようなアルバムを作り上げる。 これはむしろ神話とさえ呼ぶべきではないのではないでしょうか。

さて、今回は高音質の誉れ高いモービル盤に、オリジナルであるダークアップル・レーベルのUKファースト・プレス、 そして東芝EMIからリリースされ、これも高音質でマニアに人気のプロ・ユース盤、という3枚のアルバムを比較試聴しました。

まず、UKオリジナル1stプレス、レーベルに「Her Majesty」表記のないタイプで、マトリクスの枝番は-2/-1です。
最初に感じるのはたいへんに鮮度の高い迫力のある音だということです。
A-1の「カム・トゥゲザー」からその音は圧倒的に迫ってきます。
低域は十分に出ていますが引き締まっていてブーミーになりません。粘りのあるベースの音はたいへんに魅力的。 バスドラも重たくて、分厚く構築された低域の上に中域から高域にかけてもリアルな楽器やヴォーカルがきれいに広がります。
とくに強く印象に残ったのがB-2Because」のコーラス。
この曲は三声のコーラスを3回重ねて録音した、つまり9人分のコーラスだそうですが、もっとたくさん(18人ぐらい?)で 唄っているように聞こえます。その厚いコーラスがスピーカーの間に左右に広がるだけでなく上下にも広がって空間を埋めるようすは まさに感動的!
ただA-2サムシング」のストリングスが引っ込みがちなのは残念なところです。
つづいてプロ・ユース盤です。
78年リリースで、新たにトラックダウンしなおした2トラック・マスター・テープから ハーフ・スピード・カッティングされたものと謳われています。
音質的にはUKオリジナル盤に酷似しています。低域がたっぷりとしているので音楽がヒステリックに響かず、 ギターやシンセサイザーの音もたいへんに魅力的です。
全体的な傾向としては、低域がやや軽くなり高域に少しシフトした感じで、曲によっては、鮮度、リアルさ、 音楽の彫りの深さなどが少しずつ後退する部分もありますが、聞き比べなければUKオリジナルとの 差はわからないと思います。
つまり、オリジナルの音をイコライジングして、78年当時の最新の音に合わせるのではなく、1stプレスの鮮度の高い音の 再現をめざしたものと考えられます。
3枚目は、モービル盤です。
東芝プロ・ユース盤の翌年の79年のリリースで、英国EMIのマスター・テープからハーフ・スピード・カッティングによって 新たにラッカー盤を切り直し、高音質をめざしたということでしたが、独特のイコライジングが施されていたことが 明らかになっています。
UKオリジナル1stプレスが迫力の音だったのに対して、こちらはバランスのとれた美しい音です。 チャンネル・セパレーションのよさからくるのでしょうか、楽器やヴォーカルなどがスピーカーの間にきれいに並びます。
冒頭の「カム・トゥゲザー」はジョンのヴォーカルの音像が小さく、フェイザーか何かをかけたように響き、 まるでほかのものとはミックスが違うかのように聞こえます。
ストリングスは美しく響き、シンセも多彩な音を描き分けるので、いろいろな音が入っていることにあらためて 気づかされます。こんな音が入ってたっけと思って、ほかのディスクをかけてみると確かに入ってるんですね。 モービル盤はそのあたりの音を実によく拾って聞かせてくれます。
ただ少し線が細く感じられるのは否めません。
B-2Because」も、まるで別ミックスのようです。コーラスはたいへん瑞々しく美しいのですが、 ひとつひとつの音から雑味成分を取ってしまった感じで、整理されてしまったかのようにコーラスが薄く聞こえます。


最後にUK再発盤、USオリジナル盤、国内初盤も併せて、6枚のステレオ盤について簡単に音の傾向をまとめておきましょう。
まずUKオリジナルは低域が豊かで、音場は左右だけでなく上下にも広がり、コーラスは美しく、余韻も静寂の美しさも一番。
UK再発盤は同じ傾向ながら少しおとなしく、小ぢんまりした感じですが、ギターやシンセサイザーの音も豊かに響くし、 コーラスの広がりもじゅうぶんです。
USアップル盤はややノイズっぽいのですが、シンセの音などはたいへん魅力的。 「Because」のコーラの広がりは6枚の中でいちばんで、部屋中を満たす感じです。
国内初盤は低域は十分出ているのですが、曲によっては高域にややクセがあります。ギターの音もちょっと線が細い感じがします。
モービル盤は細かなフレーズとかが聞こえるし、音の美しさは魅力ですが、コーラスはちょっと薄い感じになります。
プロ・ユース盤はUKオリジナル盤に迫る音質で、音楽の瑞々しさや彫りの深さをじゅうぶんに伝えます。
1枚選ぶとすれば、文句なくUKオリジナル・プレスでしょうが、価格を考えるとプロ・ユース盤も素晴らしいし、 さらに安価なUK再発盤もずいぶんいいとこまで迫ってると思います。



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