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ERIC CLAPTON


モービル・フィディリティ・サウンド・インプレッション、Chapter12エリック・クラプトンのソロ第1作、『エリック・クラプトン・ソロ』です。

はじめに、マテリアルについて少し紹介しておきます。

クラプトンといえばブルーズというくらい、彼は1963年のプロ・デビュー以来40年以上に亘って ブルーズにこだわり続けてきました。
プロとしてのキャリアもヤードバーズ(63〜65)から始まって、ブルーズブレイカーズ(65〜66)、 クリーム(66〜68)、ブラインド・フェイス(69)とバンド活動にこだわり続けブルーズを追求し続けました。
そんな彼が音楽的に大きな転機を迎えたのが、ブラインド・フェイスの全米ツアーの前座を務めたデラニー&ボニーとの 出会いでした。
彼らが指向するアメリカ南部のロック(スワンプ・ロック)にすっかり夢中になってしまったクラプトンが、 初めてソロとして吹き込んだのがこのアルバム。
デラニー&ボニーのデラニー・ブラムレットをプロデューサーに迎え、リオン・ラッセルやのちの デレク&ザ・ドミノズのメンバーたちと、非常にリラックスした感じでレコーディングしています。
オリジナル・リリースは70年8月UKポリドール・レーベルで、カタログ・ナンバーは2383 021
個人的にはブルーズをめざすクラプトンが大好きだったので、このあたりのアルバムを聴くようになったのは 80年代に入ってからですが、今ではなかなかお気に入りの1枚となりました。

さて、今回比較試聴するのは、モービル盤と国内盤紙ジャケCDです。

ではまずモービル盤です。 カタログ・ナンバーはMFSL 1-220で、1995年3月のリリースです。




ヴィニール・コーティングではありませんが、つやのある美しいゲイト・フォールド・カヴァーで、 上部には表裏とも黒い帯状の部分があって、そこに白い文字で 「ORIGINAL MASTER RECORDING TM」と表記されています。

バック・カヴァーの左下には「SPECIAL LIMITED EDTION」として1868という限定ナンバーがプリントされています。
これは94年からモービル社が新しく展開した「anadisc 200」というシリーズからのリリースで、 デジタル時代にアナログのよさを再確認するというようなコンセプトのものではないでしょうか。
その名のとおりディスクは200gの重量盤で、ずしりとした重みがあります。



ゲイトフォールドの内側です。



左にセッションに加わったミュージシャンの集合写真、右にパーソネルが書かれています。 ちょっと『サージェント』みたい(笑)。




レーベルはおなじみホワイト・レーベルで、上部にブラウンで「ORIGINAL MASTER RECORDING TM」と 書かれたものですが、中央左に「anadisc 200」のロゴ・マーク、右側にはポリドールのマークが入っています。
レコードの保護用の厚紙は「anadisc 200」専用の新しいもので、内側には宣伝用の詳しい記事が書かれています。
インナー・スリーヴはモービル盤に共通の、静電防止効果のある白い半透明のものです。

つづいてポリドールから発売された紙ジャケCDです。 リリースは98年3月で、カタログ・ナンバーはPOCP-9118




オリジナルに忠実な復刻なのではないかと思いますが、オリジナルを知らないので何ともいえません(笑)。
紙ジャケはバック・シールド・ジャケット(大きめのフロント・カヴァー用の紙を裏で折り返して、 その上にバック・カヴァー用の紙を貼る方式。右の写真を見ると三方に余白の部分があるのがおわかりいただけると思います) になっていますから、オリジナルとは違うかもしれません。
こうした点では2001年11月にユニヴァーサル・ミュージックから再発された紙ジャケのほうが オリジナルに忠実な仕様になっていました。

ジャケットはコーティングのないシングル・スリーヴです。
バック・カヴァーには集合写真とパーソネルが記載されています。

ソースは96年の20ビット・デジタル・リマスター音源が使われました。
なお、時期は不明ですがデジタル・リマスターの際に、オリジナルのSide-1、3曲目の「Lonsome And A Long Way from Home」と、 Side-2、3曲目の「Told You for the Last Time」が入れ替えられました。
モービル盤もこの2曲が入れ替わっているので、曲順の変更は95年3月以前ということになります。
ただモービル盤のポリシーである「ORIGINAL MASTER RECORDING」は変わるはずがないから、 モービル盤のソースは従前どおりアナログ・マスターだと思います。



レーベルです。オリジナルの赤いポリドール・レーベルではなく、 ジャケットのイメージに合わせた落ち着いた色合いになっています。

さて、それではこの2枚を聴き比べてみましょう。

まず限定の紙ジャケCDです。
エリックの声はちょっと鼻にかかって実にセクシー(笑)。ベースもよく弾んでいい音です。
鮮度の高さはじゅうぶんで、たとえばA-5Easy Now」の左右両チャンネルから響くアコースティック・ギターは 雑味がなくじつにすっきりとしたいい音です。
ただ曲によっては線が細く、音楽的な深みが乏しく薄っぺらに聞こえることがあります。
B-5の「Let It Rain」でも、ベースやバスドラといった、バロック音楽でいえば通奏低音にあたるものが やや量感不足なのが残念です。

つづいてモービル盤です。
いつものようにカッティング・レベルの低さを補うためにヴォリュームを上げて試聴します。
CDに比べると非常に落ち着いた音というのが第一印象です。ひとつひとつの楽器の音が太く、実在感があります。
Easy Now」はCDでは000-45のようでしたが、アナログ盤ではD-45のように聞こえます(笑)。
ベースやドラムスもどっしりと存在感があり、サンバーストのストラトもじつに伸びやかで美しい音で捉えられています。
ただ曲によってはヴォーカルのサ行音が強調されるのが気になるのと、B-4Don't Know Why」では、もともとの 録音のせいなのか、音が薄っぺらでうるさく聞こえます。

ということで、どちらかというとモービル盤でしょうか。
このあたりは中古ショップでも比較的安く手に入るので、ちょっと聞いてみようか、という人にはお薦めかもしれません。

なお、2001年のユニヴァーサル盤は、ほかのタイトルで試聴したところ、この98年のポリドール紙ジャケシリーズと 音源的には同一のようでした。

© 2004 ryo_parlophone




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