BEATLESのアナログ盤


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MAGICAL MYSTERY TOURUK

今回も私事から入らせていただきます。
1968年、ぼくは中学2年生になっていました。
当時のビートルズ・ファンはどちらかというと女性のほうが多かったのですが、ぼくの周りにも熱狂的なビートルズ・ファンがたくさんいて、彼女たちはポールが可愛いとか、ジョンがかっこいいとか、リンゴはちょっとね…とか好き勝手なことを言いあっていました。
ところがシングルでいうと「ペイパーバック・ライター」、アルバムでいうと『リヴォルヴァー』あたりから、女の子があまりキャアキャア言わなくなってきました。
中学でも校内放送で流れるのは「ミッシェル」とか「ガール」、「ヘルプ!」など、過去の曲が多くなっていました。

当時EP2枚組の『マジカル・ミステリー・ツアー』は国内盤が発売されていて、表題曲や「The Fool on the Hill」などはしきりにラジオでオン・エアされていました。「Your Mother Should Know」の美しいメロディーにも胸がときめいたものです。 6曲入り1000円。ぼくはそれが発売されたころ、レコード・ショップの店頭で24ページにもわたる豪華写真集を眺めながら、たっぷり1時間は悩み、そして結局買いませんでした。

68年の10月にTVで『マジカル・ミステリー・ツアー』が放映されました。
なにしろ動くビートルズをTVで見られるというのは66年7月の来日公演、67年6月の衛星生中継以来3回目でしたから、 食い入るように画面を見つめました。
英国の批評家たちを初めとするTV映画『マジカル〜』に対する酷評が当時のぼくの耳に届いていたかどうか、はっきり記憶がありません。 けれどぼくにとってはたいへん刺激的な夢のような1時間でした。 バスのなかの楽しそうな光景や、スパゲッティを山のように女性の皿に盛るジョンの姿や、幻想的なジョージの音楽などが耳に残りました。
そしてそれから2か月後、ぼくはLPを買うことになるのですが、それはまた後の話です。

では、いつものようにまずUKオリジナル・モノラル盤から見ていきましょう。




英国でEP2枚組『MMT』がリリースされたのは67年12月8日。TV放映は12月26日でした。
モノラル盤のレコード番号はMMT-1。
ビニール・コーティングの施されたスリーヴはGarrod & Lofthouse社製でフリップ・バック。
表のカヴァーをめくると、折り返しのなかにはレコードが収められていて、その上にカラフルなイラストとプロローグが書かれています。
『FOR SALE』と同じように内側からレコードを出し入れするタイプですが、天の部分は張り合わされていないので、出し入れは容易です。
右側のページには映画のキャストなどが載せられています。



写真集中央(12ページと13ページの間)に4ページの歌詞カードが綴じ込まれていますが、このシートがブルーなのが初盤。



バック・スリーヴの裏にはパーロフォン、EMIのロゴ・マークとともにリンゴの絵と「apple presents」というクレジットがあります。



レコードはシングル盤と同じ45回転のプッシュアウト・センター・タイプで、「SOLD IN U.K.〜」というリマークがスピンドル・ホールの下にクレジットされています。 リムのコピーは「THE GRAMOPHONE〜」で始まるタイプで、SIDE-3にKTの刻印があります。(下の写真参照)
マトリクスとスタンパー関係はSIDE-1が7XCE 18435-1、7/OR、SIDE-2は18434-1、10/RPG
SIDE-3が18436-1、9/LP、SIDE-4は18437-2、5/LHとなっています。
マトリクスからすると2ndプレスのようです。
なお、KTの刻印やスタンパー等の見方については、別項 Yellow Parlophone Data Baseをご参照ください。




インナー・スリーヴは白のプレーンなタイプで、取り出し口が波型にカットされたオリジナルです。



つづいてUK再発のステレオ盤でレコード番号はSMMT-1。

ジャケットは光沢のある美しいものですがコーティングはありません。 内側もフリップ・バックではなく、スリーヴの製作会社のクレジットもなくなっています。






中央の歌詞カードは黄色で、かなり薄手の紙になっています。



ディスクはへんてこな組み合わせで1枚目はソリッド・センターですが、まだリマークが記載されています。 SIDE-1と2で、レイアウトやフォントが違っています。
もっと不思議なのはリムのクレジット。SIDE-1はなんと「THE PARLOPHONE CO.LTD〜」で始まるタイプ。 いったいいつのレコードや!って感じです。SIDE-2は「THE GRAMOPHONE CO.LTD〜」になっています。 コピーの方向もSIDE-1は9時の位置から下回りに3時の位置へ、SIDE-2は8時の位置から上周りで4時の位置までプリントされています。 同じレコードの裏表でこれだけ違うのも珍しいのではないでしょうか。




2枚めのレーベルは「45」という大きなロゴがなくなった、かなり新しそうなデザインで、 リムのコピーはSIDE-2とは逆に4時の位置から始まって上回りに8時の位置まで書かれています。
インナー・スリーヴはブラックですが、アップル盤LPのものと違ってかなり厚手です。




マトリクスの関係は順に18435-3、3、 18434-3、5、 18436-2、1、 18437-3、3となっていて、SIDE-3には手書きでNICKWというサインが刻まれています。

なお、MASAさんがお持ちの再発盤は1枚がプッシュアウト・センター、1枚がソリッド・センターというもので、 これもおもしろい取り合わせだと思います。 参考のために画像を掲載させていただきました。リマークはついていないそうです。 同じソリッド・センターの再発盤でもぼくのとはレーベル面の凹凸などが違っていて、興味が尽きません。



つづいて国内盤EPです。
まず、イギリスから3か月遅れて68年3月にリリースされた国内初盤。



コーティングのないジャケットで右上にレコード番号OP・4335〜6とSTEREO表記、 左下にはオデオンのロゴがプリントされています。
真ん中の歌詞カードは白で、写真集の最後にストーリーの日本語訳がついています。親切ですね。




レコードは33回転の黒盤。このEPにも赤盤は存在するようです。
なお、だーさんの情報によると「赤い帯」がついていたそうです。 どなたか詳しい情報や画像をお持ちの方があれば、ぜひ掲示板に書き込みをお願いします。




白いポリエステルつきのインナーに収められています。

次は国内再発盤。92年9月にデビュー30周年記念としてアナログ盤が再発されたときのものです。




やはりノンコーティング・スリーヴで右上にSTEREO表記とレコード番号TOKP-7412・13が、 裏ジャケにはバー・コードとアップル、EMI-Odeonのロゴマークがプリントされています。
歌詞カードの色はUKリイシュー盤と同じくイエロー。



ディスクはやはり33回転で、EMI-Odeonレーベル。
ビートルズ・シネ・クラブ・サウンド研究会による解説と山本安見さんによる歌詞の日本語訳がついています。




余談ですがUK盤と国内盤ではどうしてこんなにジャケットの大きさが違うのでしょう。



では最後にこの4種類のEPを聴き比べてみましょう。
まずUKモノラル盤。いかにもTV放映を意識したかのような中域重視の音作りです。表題曲はヴォーカルやコーラスがやや細み。「アイ・アム・ザ・ウォルラス」はスネアを中心にボトムが充実して、ジョンのヴォーカルはフェイザーがかかったように歪んでいますが、ラジオの効果音などからははっきり分離して聞こえます。ストリングスも弓でこする感じがよく出ています。

つづいてUK再発盤。モノに比べると音が左右に広がり、高域も伸びて見晴らしがよくなった感じです。 表題曲のブラスは中域中心で輝かしい音色。「ウォルラス」はジョンのヴォーカルの再現性が見事です。弦の音もリアルです。
なお、モノラルとステレオでは「ウォルラス」のミックスが違っています。

次は国内初盤。UKステレオ盤に比べると高域を押さえた音作りで、一瞬ピッチが下がったかのように聞こえます。ヴォーカルはモノラルの質感に近い感じ。33回転というエクスキューズを必要としない、とても充実した音です。

最後は国内再発盤。92年のリリースですからデジタル・リマスター音源です。「マジカル〜」では不思議なことに楽器の配置が左右だけではなく上下にも広がって聞こえます。ポールのベースはやや膨らみぎみ。
ヴォーカルを前に出したリマスターなんだけど、CD初期特有の潤いに乏しい感じはこのアナログ盤にもあります。
こんなこと書くとそれはおまえの偏見だ、先入観だといわれそうなんですが、なんか紙臭いんですよね。いやあー、スピーカーって紙でできてたのね、 ってあらためて認識させられるような音です。スミマセン…(汗)。




© 2004 ryo parlophone




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