第4回は、US Capitolからのデビュー・アルバム『ミート・ザ・ビートルズ!』を紹介します。 まずはその前に……。 ブライアン・エプスタインが、ビートルズのUSデビューにあったって、熟慮の上に熟慮を重ねたのは有名な話です。 当時アメリカ国内で英国EMIの販売権を持っていたのはキャピトル・レーベルですが、
キャピトルにはビートルズのレコードをリリースする気がなかったので、
ジョージ・マーティンはシカゴに本拠地を置くVee Jayというマイナー・レーベルと契約を結びます。 |
ヴィー・ジェイ・レーベルは、モダン・ジャズの世界ではリー・モーガンやウィントン・ケリーなどの、
優れた作品をいくつも残していますが、ポピュラーの世界ではどうだったのでしょう。 このアルバムは当時のすさまじい人気を反映してかなりの数が出荷されたようですが、
現在では本物よりむしろ、カウンターフィット盤(本物のレコードをジャケットから
レーベル、音源にいたるまで忠実にコピーした海賊盤)のほうがあふれています。 |
なお、レインボウ・キャピトルによく似た、美しいカラーのレーベルも存在しています。
詳しくはMST!さんのサイトのUS VEE JAY / CAPITOL盤
のコーナーをぜひご覧ください。
なお、画像は省略しましたが、インナー・バッグもカンパニー・スリーヴではなく、白のプレーンなものに入っていました。
では気を取り直して、『MEET THE BEATLES!』に参りましょう。 |
ジャケットは基本的にはUK盤『with the beatles』と同じですから、
CDからビートルズに入った世代の方には紛らわしいかもしれませんね。 一般にレインボウ・キャピトルと呼ばれているオリジナル盤は、
レーベルの外周に虹のように変化する美しいカラーバンドが描かれているのでこの名称がありますが、
BEATLESのアルバムが爆発的な売れ方をしたため、東海岸ペンシルヴェニア州スクラントン、西海岸のカリフォルニア州ロサンゼルス、
そしてのちには中部イリノイ州のジャクソンヴィルも加わって3つの工場でプレスされるようになり、
レーベルには多種多様なものがあります。 |
1stプレスの主な特徴は、フロント・カヴァーの「BEATLES!」の文字の色がブラウン、またはタン(黄褐色)で、 バック・カヴァーの左下には「Produced by GEORGE MARTIN」の記載がなく、レーベルの曲名と演奏時間の間にあるはずの著作権の表示 がないというものです。 ここに掲載したレコードは、表ジャケの文字の色がタンで GEORGE MARTIN のクレジットがなく、
レーベルの著作権表示を見ると、「I Want To Hold Your Hand」だけが「BMI」で、
残りの11曲は全て「ASCAP」となっているので、2ndプレスだと思われます。 インナー・バッグは64年半ばぐらいに使われていたブルーのカンパニー・スリーヴがついていました。 つづいてレインボー・レーベルのステレオ盤、レコード番号はST-2047です。 |
4thプレスの主な特徴は、表ジャケの「BEATLES!」の文字の色がダーク・オリーヴになり、 裏ジャケットの左下に「Produced by GEORGE MARTIN」のクレジットが記載されるようになります。 レーベルの著作権表示は、Side-1が全て「BMI」、 Side-2は「Don't Bother Me」「Till There Was You」の2曲が「ASCAP」で、 それ以外は全て「BMI」、という仕様になります。 |
レーベルはざらっとした紙の質感の感じられるタイプです。 では2ndプレスのモノラル盤と4thプレスのステレオ盤を具体的に比べてみましょう。 2ndプレスは「BEATLES」のロゴがタン、4thプレスはダーク・オリーヴです。 バック・カヴァーの左下です。 右上を見るとモノラル盤には「HIGH FIDELITY RECORDING」のロゴが、 ステレオ盤にはFDSのマークが印刷されています。 FDSは、のちに西海岸のジャズ・レーベルContemporaryに移籍して、次々に高音質録音をものしたことで有名な ロイ・デュナンも制作に携わっていたという記憶があります。 右下のナンバーです。 ご存知のように60年代のアメリカのジャケットは、ビートルズに限らずヴィニール・コーティングのない厚紙タイプのものが ほとんどなので、年月とともにかなり傷みが出てきて、程度のよいものを探すのはなかなか苦労します。 次にご紹介するのは、グリーン・キャピトル盤。 |
表ジャケの「BEATLES!」の文字の色は1stプレスと同じブラウンですが、かなり明るい色になっています。 |
グリーン・キャピトル・レーベルは、販売された時期が69年9月から71年1月までの1年5か月と、 きわめて短かったため、ものによってはレインボウ・レーベルよりレアなものもあり、 中古市場ではけっこうな値段で取引されていたりします。 マトリクスは手書きで、それぞれST-1-2047-W16、ST-2-2047-X16となっています。 それでは写りがあまりよくなくて申し訳ないんですが、3つの工場のマークをそれぞれ見ていただきましょう。 |
左から順に三角形の中に「IAM」と書かれたスクラントン工場プレス、 6本線の星のマークが刻印されたロサンゼルス工場プレス、 Yの字の上を閉じたアンテナのようなマークの、ヴァージニア州ウィンチェスター工場プレスです。 4枚目は、80年代に入ってリリースされた再発レインボウ・レーベル盤です。 |
キャピトルのスリーヴは、UK盤とは逆に、裏ジャケットを表に折り返して、その上に表ジャケットを貼るという形で作られて いましたが、これは国内盤にふつうに見られるように、貼りあわせた跡がほとんど残らない仕様になっています。 ジャケットの天の部分右側にあった「File Under :The Beatles ・Pop Rock, Vocal Group」
の文字もなくなっています。 あまりUS盤になじみのない人にとっては、オリジナル・レインボウと再発レインボウの区別がつきにくいかもしれません。 ネット・オークションなどで、レインボウ・レーベルを安く落札したと思って、届いてみたら再発盤だったなんて 失敗をしないように気をつけてください。 US Capitol盤の音の傾向ですが、一言でいうと元気な音です。 おまけに国内盤『MEET THE BEATLES!』も紹介しておきましょう。 |
日本語タイトルは『ビートルズ!』、レコード番号OR 7041で、64年4月のリリースです。 収録曲は画像でもなんとか読み取っていただけると思いますが、「抱きしめたい」、「シー・ラヴズ・ユー」、
「フロム・ミー・トゥ・ユー」、「プリーズ・プリーズ・ミー」などのヒット・シングルと、
「アイ・ソウ・ハー・スタンディング・ゼア」、「ツイスト・アンド・シャウト」、
「オール・マイ・ラヴィング」、「プリーズ・ミスター・ポストマン」といった、
UKファースト、セカンドからのおいしいとこ取り。こりゃあ売れるわな。 |
ディスクはレギュラーの赤盤で、広告入りのインナー・スリーヴがついています。 なお、この記事は『レコード・コレクターズ』誌2005年1月号を参考にして、内容を一部修正しました。 |
special thanks to Mr.MST! and MASA
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