BEATLESのアナログ盤

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U.S. First Album MEET THE BEATLES!

第4回は、US Capitolからのデビュー・アルバム『ミート・ザ・ビートルズ!』を紹介します。

まずはその前に……。

ブライアン・エプスタインが、ビートルズのUSデビューにあったって、熟慮の上に熟慮を重ねたのは有名な話です。
初のアメリカ訪問の様子は『THE FIRST U.S. VISIT』というタイトルで、最近DVDでもリリースされましたから、 手軽に映像で確かめることもできますが、初めてアメリカの土を踏むことになるケネディー国際空港には、熱狂的 な歓迎を演出するために数千人のエキストラを用意したというのですから、その周到さと慧眼ぶりには驚くばかりです。
ただそのことが逆に、レコード・セールスという点ではビートルズもほかの英国のアーティストと同じように、 初めのころは意外に苦戦したことを物語っていて面白い気がします。

当時アメリカ国内で英国EMIの販売権を持っていたのはキャピトル・レーベルですが、 キャピトルにはビートルズのレコードをリリースする気がなかったので、 ジョージ・マーティンはシカゴに本拠地を置くVee Jayというマイナー・レーベルと契約を結びます。
しかし、シングル盤も思わしい動きを見せぬうちにヴィー・ジェイは経営難に陥り、 1963年7月22日に予定されていたアルバムは発売延期になってしまいます。
けっきょく、アメリカのファンの前に『introducing...THE BEATLES』というアルバムがお目見えしたのは、 翌年の1964110日ですが、これはキャピトルからファースト・アルバムがリリースされるわずか10日前。
メジャー・レーベルからのリリース決定とそれにともなう大々的なキャンペーンに乗じて発売された、というのが真相のようです。



ヴィー・ジェイ・レーベルは、モダン・ジャズの世界ではリー・モーガンやウィントン・ケリーなどの、 優れた作品をいくつも残していますが、ポピュラーの世界ではどうだったのでしょう。
ジャケットはデザイン・センスのかけらも感じられないようないい加減な仕事で、ヴィー・ジェイが本気で彼らを 売り出そうとしていたのか、疑問に感じてしまいます。第一、写真が裏焼きだっちゅうに!(笑)
(じゃあ、ジャズのジャケットは素晴らしいかというと、こちらもあまり変わり映えはしませんが…)

このアルバムは当時のすさまじい人気を反映してかなりの数が出荷されたようですが、 現在では本物よりむしろ、カウンターフィット盤(本物のレコードをジャケットから レーベル、音源にいたるまで忠実にコピーした海賊盤)のほうがあふれています。
ぼくが持っているのもどうやらカウンターフィットのようで、MST!さんからのご教示によると、 レーベルの「INTRODUCING the BEATLES」という文字と、その下の「THE BEATLES」という文字が、 スピンドル・ホールをはさんで上下に分かれているのがカウンターフィットの特徴ということですが、 見事にそうなっています(笑)。
左がぼくの持っている『introducing...THE BEATLES』のレーベル、右がMST!さんがお持ちの本物のレーベルです。



なお、レインボウ・キャピトルによく似た、美しいカラーのレーベルも存在しています。
詳しくはMST!さんのサイトのUS VEE JAY / CAPITOL盤 のコーナーをぜひご覧ください。
なお、画像は省略しましたが、インナー・バッグもカンパニー・スリーヴではなく、白のプレーンなものに入っていました。



では気を取り直して、『MEET THE BEATLES!』に参りましょう。
(ということで、厳密にはUSファースト・アルバムではありませんが、よしなに。
ってゆーか、ジャケットにも堂々とThe First Albumって書いてありますね。これはキャピトルからの……って意味?)
最初にご紹介するのはオリジナルのモノラル盤。 レコード番号はT-2047で、リリースは64120日です。



ジャケットは基本的にはUK盤『with the beatles』と同じですから、 CDからビートルズに入った世代の方には紛らわしいかもしれませんね。
ロバート・フリーマンのポートレイトの上に大きく「MEET THE BEATLES!」のロゴをあしらった、 いかにもアメリカナイズされたデザインは好みの分かれるところでしょう。

一般にレインボウ・キャピトルと呼ばれているオリジナル盤は、 レーベルの外周に虹のように変化する美しいカラーバンドが描かれているのでこの名称がありますが、 BEATLESのアルバムが爆発的な売れ方をしたため、東海岸ペンシルヴェニア州スクラントン、西海岸のカリフォルニア州ロサンゼルス、 そしてのちには中部イリノイ州のジャクソンヴィルも加わって3つの工場でプレスされるようになり、 レーベルには多種多様なものがあります。
ここに掲載したものはおそらく2ndプレスで、レコード最内周のトレイル・オフ・エリア(ラン・オフとも)に刻まれたマークは 三角形の中に「IAM」と書かれたスクラントン工場プレスです。



1stプレスの主な特徴は、フロント・カヴァーの「BEATLES!」の文字の色がブラウン、またはタン(黄褐色)で、 バック・カヴァーの左下には「Produced by GEORGE MARTIN」の記載がなく、レーベルの曲名と演奏時間の間にあるはずの著作権の表示 がないというものです。

ここに掲載したレコードは、表ジャケの文字の色がタンで GEORGE MARTIN のクレジットがなく、 レーベルの著作権表示を見ると、「I Want To Hold Your Hand」だけが「BMI」で、 残りの11曲は全て「ASCAP」となっているので、2ndプレスだと思われます。
Side-1の「1」が「I」表記になっていますが、これは東海岸プレスに共通の特徴です。
レーベルの紙質もプラスティックのような光沢のあるものと、ざらっとしていかにも紙製のものとありますが、ここに 載せたのは光沢のあるタイプ。

インナー・バッグは64年半ばぐらいに使われていたブルーのカンパニー・スリーヴがついていました。
マトリクスはT-1-2047-P1、T-2-2047-G6で、 バック・カヴァー右下の番号は3
この番号はニューヨークにあるジャケットの印刷会社を表すそうで、スリーヴもディスクも東海岸製造ということになります。
ディスクはずっしりと重量感があり、実測190gでした。

つづいてレインボー・レーベルのステレオ盤、レコード番号はST-2047です。
ぼくが持っているのはおそらく4thプレスで、66年ごろのプレスだと思われます。



4thプレスの主な特徴は、表ジャケの「BEATLES!」の文字の色がダーク・オリーヴになり、 裏ジャケットの左下に「Produced by GEORGE MARTIN」のクレジットが記載されるようになります。 レーベルの著作権表示は、Side-1が全て「BMI」、 Side-2は「Don't Bother Me」「Till There Was You」の2曲が「ASCAP」で、 それ以外は全て「BMI」、という仕様になります。



レーベルはざらっとした紙の質感の感じられるタイプです。
66年に使用されたオレンジ色の広告入りインナー・バッグがついています。
マトリクスはST-1-2047-A5、ST-2-2047-B6で、六つの線でできた星のようなマークが刻印されているので ロサンゼルス工場でプレスされたものでしょう。
裏ジャケ右下の番号は6で、インディアナ州の印刷会社で作られたことを表しています。
ディスクの重量は190gでした。

では2ndプレスのモノラル盤と4thプレスのステレオ盤を具体的に比べてみましょう。
まずフロント・カヴァーの上部です。



2ndプレスは「BEATLES」のロゴがタン、4thプレスはダーク・オリーヴです。
ステレオ盤にはCAPITOL FULL DIMENSIONAL STEREOという文字と矢印と 「S」の字を組み合わせた大きなロゴが入っています。

バック・カヴァーの左下です。
2ndプレスにはない「Produced by GEORGE MARTIN」のクレジットが 4thプレスにはあります。



右上を見るとモノラル盤には「HIGH FIDELITY RECORDING」のロゴが、 ステレオ盤にはFDSのマークが印刷されています。



FDSは、のちに西海岸のジャズ・レーベルContemporaryに移籍して、次々に高音質録音をものしたことで有名な ロイ・デュナンも制作に携わっていたという記憶があります。

右下のナンバーです。



ご存知のように60年代のアメリカのジャケットは、ビートルズに限らずヴィニール・コーティングのない厚紙タイプのものが ほとんどなので、年月とともにかなり傷みが出てきて、程度のよいものを探すのはなかなか苦労します。

次にご紹介するのは、グリーン・キャピトル盤



表ジャケの「BEATLES!」の文字の色は1stプレスと同じブラウンですが、かなり明るい色になっています。
また100万枚以上売れたアルバムに与えられる、RIAA (全米レコード工業会)認定の「GOLD RECORD AWARD」を表すマークが 表ジャケット右の、キャピトルのレーベル・マークの下にプリントされています。
裏ジャケの番号は12



グリーン・キャピトル・レーベルは、販売された時期が699月から711月までの1年5か月と、 きわめて短かったため、ものによってはレインボウ・レーベルよりレアなものもあり、 中古市場ではけっこうな値段で取引されていたりします。

マトリクスは手書きで、それぞれST-1-2047-W16、ST-2-2047-X16となっています。
その横にはアルファベットのYの字の上を閉じた、アンテナのようなマークがあるのですが、 これは第4の工場、ヴァージニア州ウィンチェスターのプレスのようです。
ディスクの重量は160gで、白いプレーンなインナー・バッグに入っていました。


それでは写りがあまりよくなくて申し訳ないんですが、3つの工場のマークをそれぞれ見ていただきましょう。



左から順に三角形の中に「IAM」と書かれたスクラントン工場プレス、 6本線の星のマークが刻印されたロサンゼルス工場プレス、 Yの字の上を閉じたアンテナのようなマークの、ヴァージニア州ウィンチェスター工場プレスです。

4枚目は、80年代に入ってリリースされた再発レインボウ・レーベル盤です。



キャピトルのスリーヴは、UK盤とは逆に、裏ジャケットを表に折り返して、その上に表ジャケットを貼るという形で作られて いましたが、これは国内盤にふつうに見られるように、貼りあわせた跡がほとんど残らない仕様になっています。



ジャケットの天の部分右側にあった「File UnderThe Beatles ・Pop Rock, Vocal Group」 の文字もなくなっています。
ジャケットはニス塗りの美しくてつやのあるタイプ。
BEATLES」の文字は臙脂に近い色になっています。
裏ジャケには番号がありません。

あまりUS盤になじみのない人にとっては、オリジナル・レインボウと再発レインボウの区別がつきにくいかもしれません。
けれども、よく見ればすぐわかります。
オリジナルは、リムのコピーが、カラーバンドの内側に白抜きで印刷されています。
再発のリム・コピーは、カラーバンドの中に黒字でプリントされています。



ネット・オークションなどで、レインボウ・レーベルを安く落札したと思って、届いてみたら再発盤だったなんて 失敗をしないように気をつけてください。

US Capitol盤の音の傾向ですが、一言でいうと元気な音です。
低域がそんなに出ているわけでもないし、音像が鮮明でもない。
けっしていい音ではないと思うんですが、塊になって飛び出してくるようで聴いていて気持ちがいい。
なんとなく映画『ライト・スタッフ』のデニス・クエイド演じる、ノー天気なんだけど、前向きでがんばる!みたいな…そんな人たち がこのジャケットのLPを聴いている場面を想像してしまいます(笑)。


おまけに国内盤『MEET THE BEATLES!』も紹介しておきましょう。



日本語タイトルは『ビートルズ!』、レコード番号OR 7041で、644月のリリースです。
ヴィニール・コーティングの施された、いわゆるペラ・ジャケで、裏には当時ニッポン放送のDJだった高崎一郎さんの解説 が載せられています。
東芝音楽工業(当時)のレコードには製造過程で静電防止剤が入れられていて、 裏ジャケの右上に「Ever Clean RECORDS」のロゴが誇らしげについています。

収録曲は画像でもなんとか読み取っていただけると思いますが、「抱きしめたい」、「シー・ラヴズ・ユー」、 「フロム・ミー・トゥ・ユー」、「プリーズ・プリーズ・ミー」などのヒット・シングルと、 「アイ・ソウ・ハー・スタンディング・ゼア」、「ツイスト・アンド・シャウト」、 「オール・マイ・ラヴィング」、「プリーズ・ミスター・ポストマン」といった、 UKファースト、セカンドからのおいしいとこ取り。こりゃあ売れるわな。
収録曲もUS盤なみの12曲ではなく、UK盤にならった14曲になっていて、ジョージの初オリジナル、 「ドント・バザー・ミー」がちゃんと収録されているところも好感が持てます。



ディスクはレギュラーの赤盤で、広告入りのインナー・スリーヴがついています。
レーベルの下部に「LONG PLAYING」のロゴがあり、フタつきの白い無地のインナーに入ったものが初盤なので、 このディスクは2ndプレスなのでしょう。



なお、この記事は『レコード・コレクターズ』誌2005年1月号を参考にして、内容を一部修正しました。
またウィンチェスター工場プレスについてはMASAさんから教えていただきました。ありがとうございました。



special thanks to Mr.MST! and MASA
© 2004-5 ryo parlophone




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