BEATLESのアナログ盤

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“Rarities”

今回は『レアリティーズ』を紹介します。

同じタイトルでジャケットも内容も異なるUK盤、US盤の2種類が存在するこのアルバム、 もともとは1978年12月に英国でリリースされた13枚組ボックス・セット『THE BEATLES COLLECTION』(BC 13)の オマケとして作られたものでした。
オリジナル・アルバムには収められていない17曲が収録されたこのUKコンピレーション・アルバム『“Rarities”』は、 ボックスと同じデザインで、バック・カヴァー左上には斜めに「Sampler album not for sale」の文字がありました。
当時としては大変レアだった「アクロス・ザ・ユニヴァース」のバード・ヴァージョン (プロデュースはジョージ・マーティン)を初めとして、上記のコレクションを補完する楽曲群が収められており、 ボックス・セットのBC 13という番号とは別にPSLP 261というカタログ・ナンバーがついていました。

ここでご紹介するのは、約1年後の79年10月12日に単品としてリリースされたもので、レコード番号はPCM 1001です。




バック・カヴァー左上の「Sampler album」という文字はなくなっています。

スリーヴはコーティングのないシングル・ジャケで、たいへん薄く作られているために傷みやすいのが欠点です。
フロント・カヴァーのデザインはオリジナル盤と同じですが、 バック・カヴァーにはヒュー・フィールダーHugh Fielder)という人の解説が記載されています。
また「アルバム・リサーチ」としてマイク・ヒートリーMike Heatley)、 「トラック・リスニング」としてコリン・マイルズColin Miles)のクレジットがあります。



バック・カヴァー左下の部分にはEMIレコードのクレジットが、右下にはPARLOPHONEのロゴ・マークと スリーヴ製作会社Garrod & Lofthouseのクレジットがあります。
またレコードと同時にカセット・テープでも発売されていたことがわかります。




レーベルは2 EMIのシルヴァー・パーロフォンで、リムのクレジットが「EMI RECORDS LTD.」で始まるタイプのものです。




マトリクスはSide-1がYEX 991、Side-2がYEX 992ですが、 ボックス・セットのラッカー・マスターをそのまま使用しているので、 ランオフ・エリアのマトリクスはSPSLP 261-1というのを斜線で消して新しく刻印されたものになっています。



マトリクスの枝番/マザー/スタンパー関係はSide-1がYEX 991-1/2でスタンパーの記載なし、 Side-2がYEX 991-2/3/AOで、手書きでHTMのサインがあります。

つづいてUS盤です。
もともとビートルズ現役時代も、USキャピトルは独自の編集でアルバムをリリースしていましたので、 UK盤『レアリティーズ』に収められた曲はそれほど「レア」ではなかったのでしょう、 1980年の3月にリリースされたUS盤は、タイトルだけはそのままですが、まったく違うアルバムになりました。
タイトルも『珍品集』ということばは同じですが、UK盤は『“Rarities”』、US盤は『RARITIES』で、 クォーテーション・マークの有無、大文字と小文字など、細かな違いがあります。
だからどうした?といわれそうですが……(笑)。

さてこのUS盤『レアリティーズ』、アルバムの目玉はまずジャケットにありました。
表はなんの面白みもないどちらかというと凡庸なジャケットで、裏にはランドール・デイヴィスRandall Davis) という人の収録曲に対する詳細な解説とともに何枚かの写真がレイアウトされています。




ところが、ゲイトフォールド・カヴァーの内側を開けると、長いあいだUSキャピトルが封印してきた ブッチャー・カヴァーの写真が載せられていたのです。
同時に、右側には裏焼で使用されたトランク・カヴァーの正式な写真も載せられています。



あまりきちんとこの写真を見たことのない方のために少し大きめの画像をアップしておきましょう(笑)。



レーベルは時期的にはパープル・キャピトルのはずですが、なぜかこのアルバムだけレインボウ・キャピトルが 復活しています。
レコード番号はSHAL-12060




いろいろなフォトを載せたインナー・スリーヴがついています。



収録曲についてひと言述べておくと、このアルバムを買うときにぼくが一番楽しみだったのが 「アイ・アム・ザ・ウォルラス」のスペシャル・エディット・ヴァージョンです。
この曲のステレオ・ミックスに何種類かあるのはみなさんご存知だと思います。
いちばんわかりやすいのがイントロのメロトロンで、UK・EP盤『マジカル・ミステリー・ツアー』では6拍なのに対し、 US・LP盤だと4拍しかありません。
米国ではLPしかリリースされませんでしたのでイントロ6拍の同曲は「レア」なわけですが、この『レアリティーズ』では なんとそこにUSモノラル・シングル盤だけにあった間奏をくっつけてしまいました (「I'm crying」と「Yellow matter custard」のあいだのドラムス1小節)。
この曲は途中から擬似ステレオになりますので、モノラルの間奏をくっつけても違和感はありません。
ま、いわばでっちあげ・ステレオ・ヴァージョンなわけですが、今でもこれを聞きたくてこのアルバムをターンテーブルに載せます。
バック・カヴァーのクレジットを見ると、この編集をしたのはジョン・パラディーノJohn Palladino)と、 ジョージ・アーウィンGeorge Erwin)というふたりのエンジニアのようです。

それ以外のクレジットについても見ておくと、コンピレーションはさきほどのランドール・デイヴィスですが、 「リサーチ」はロン・ファーマネクRon Furmanek)と Walter Podrazik(いやあ難しい、何と読むのでしょうウォルター・ポドラズィク?)、 「アシスタント・リサーチ」にスティーヴン・ピープルズStephen Peeples)といった人々のクレジットがあります。

このアルバム、すぐにセカンド・プレスがリリースされています。
それはバック・カヴァーのデイヴィスの解説にミスがあったからですが、 それにともなってまずフロント・カヴァーのエンボス加工がなくなりました。




左がオリジナル盤。写真のフチの部分がエンボスになっています。 右は再発盤で写真のフチが平坦です。

バック・カヴァー左下のクレジット部分には、セカンド・プレスからプロデューサーとして ジョージ・マーティンの名前が記載されるようになります。



さて、問題のミス・クレジットの部分ですが、まずファースト・プレスでは「There's A Place」にかんして 「この曲のステレオ・ヴァージョンがUSでリリースされるのは初めてである」と書いてあるのですが、セカンドでは この記載がなくなります。



もう一つは「ヘルター・スケルター」です。
ご存知のように『ホワイト・アルバム』に収められた同曲の最後には、「指にマメができちゃったよ〜」というリンゴの叫び声が 収録されています。
しかしこれはステレオ・ヴァージョンの話で、モノラルはミックスが違うためにこの叫び声は収められていません。
米国では『ホワイト・アルバム』からモノラル盤がリリースされなくなっていたので、ここにはそのモノラル・ヴァージョンが 収録されたのですが、この叫び声を「レノンの声明」と書いちゃったんですね。
セカンド・プレスではその「Lennon」の部分が削除されています。




なお、レーベルには異同はないようです。
ちなみにマトリクス関係ですが、ぼくが所有しているオリジナル盤はSide-1がSHAL-1-12060-G5 #6、 Side-2はSHAL-2-12060-G1 #4で、MASTERED BY CAPITOLの刻印と、 カッティング・エンジニアのものらしきサインがありますが、達筆で読めません(笑)。
()のような刻印があるので、ジャクソンヴィル・プレスです。
再発盤のほうはSide-1がSHAL-1-12060 H7、Side-2もSHAL-2-12060 H7で、MASTERED BY CAPITOLの刻印と、 カッティング・エンジニアのものらしきJAM、さらにはEMWというサインがあります。
プレス工場を表すマークは見当たりませんでした。

ではそれぞれの国内盤を見ていきましょう。
最初はUK盤『レアリティーズ』です。
国内盤のタイトルはそのまま『レアリティーズ』で、レコード番号はEAS-63010
1979年10月5日のリリースです。




バック・カヴァーの表記がシンプルなのは、UK盤ボックス・セット所収のオリジナル盤のデザインを 踏襲しているからです。

帯のコピーは「ザ・ビートルズのうもれた名演、名作を17曲収録した絶品のオリジナル・コレクション。
あの「アクロス・ザ・ユニヴァース」がLP『レット・イット・ビー』とは一味違ったテイクで聴けるのが なにより嬉しいのです。」となっています。
US編集盤も国内発売していたわが国では、こういう売り方になってしまうのもやむを得ないところでしょう。

立川直樹氏の解説、歌詞、対訳のほかに、UK再発盤のバック・カヴァーにあった、ヒュー・フィールダーの文章を記載した カードがついています。



つづいてUS盤『レアリティーズ』の国内盤。
タイトルは『レアリティーズ vol. 2 』になっています。
レコード番号はEAS-81325で、1980年5月5日にリリースされました。




帯のコピーは「あなたはこのアルバムに収められた作品の何曲をいままで聴いたことがありますか?
全14曲、いずれも今までに発表されたものとはどこかが違う音をしたこれが本当の珍品集!!」。

US盤のファースト・プレスを基本に作られているのでプロデューサー、ジョージ・マーティンの クレジットもありませんし、ミス・クレジットもそのまま載せられています。
しかしフロント・カヴァーのエンボス加工は略されています。せこいなあ……(笑)。




会田裕之氏の解説、歌詞のほかに、バック・カヴァーのランドール・デイヴィスのライナーノウツを 内田久美子氏が訳したものがついています。



ではレーベルを見てみましょう。
どちらもEMI Odeonで、原盤どおり、タイトルはどちらも『RARITIES』になっています。




最後に世界野生動物保護基金(WORLD WILDLIFE FUND)のためのアルバム、 『NO ONE'S GONNA CHANGE OUR WORLD』をご紹介しましょう。
前述の「アクロス・ザ・ユニヴァース」のバード・ヴァージョンが最初に収められたアルバムですが、 すぐに廃盤になってしまったため、UK盤『“Rarities”』が出るまではビートルズ・ファンにたいへん 人気のあったアルバムです。




前述のとおり1969年12月に英国でリリースされた野生動物保護のためのチャリティー・アルバムで、 ビートルズ以外にもザ・ビージーズザ・ホリーズクリフ・リチャードシラ・ブラックルルなどが参加しています。
個人的にはジャッキー・デシャノンの歌で世界的にヒットしたバカラック&デイヴィッドの 「世界は愛を求めている」をシラがカヴァーしているのがうれしいところです。
フロント・カヴァーはヴィニール・コーティングがラミネイトされ、右下のパンダの絵の横には 希望小売価格?「Recommended Retail Price 19/11」という表記があります。
どうやら19シリング11ペンス(当時の日本円で1200円前後)という廉価設定だったようです。



バック・カヴァーには基金の総裁を務めているエジンバラ公の写真とメッセージが載っています。



レーベルはEMI傘下のstar lineで、レコード番号はSRS 5013
EMI グループのレコードが印刷されたアド・スリーヴに収められています。




マトリクス関係はSide-1が SRS 5013 A-1/2/GO、Side-2が SRS 5013 B-1/2/GGとなっています。




バック・カヴァーは3辺に折り返しのあるフリップバックで、スリーヴの製作会社のクレジットはGarrod & Lofthouse になっています。
右の写真は右上のカタログ・ナンバーの部分でstereoの表記がありますが、モノラル盤はリリースされたのでしょうか。
69年9月リリースの『アビイ・ロード』がステレオ・オンリーですから、モノラル盤は出なかったのかもしれませんね。

なお今回に記事を書くにあたってたまちさん、てらださんにいろいろ教えていただきました。
またレコードの価格についてquad66さんにご教示いただきました。
ありがとうございました。

special thanks to Mr.Tamachi, Mr.quad66,
and especially Mr.Terada.
© 2005 ryo_parlophone




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