BEATLESのアナログ盤

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RUBBER SOUL

ビートルズが遺した13枚のオリジナル・アルバム(EP2枚組としてリリースされた『MMT』を含む)を前期・中期・後期に分けるとすると、 このアルバムから中期に入ったと考えるのが一般的な分け方だと思います。
歪んだジャケット写真、全曲オリジナル、シタールの使用……。
しかもA面トップの「Drive My Car」は、今までのポールの曲にあったようなメロディアスなものではなく、 骨太でソウルフルな曲調。ピアノは重々しく響き、ベースもぶんぶん唸りをあげます。
明らかな変質がファンの前に提出され、 きゃあきゃあ叫ぶだけのファンが次第についていけなくなったのもこのアルバムからではないでしょうか。

個人的な思い出話を書かせてもらうなら、大学生のとき、尊敬していた部活の先輩がだんだん大学に来なくなって、 心配になって久しぶりに彼の下宿を訪ねたとき、テーブルの上に置かれていたのがこのアルバムでした。 元気そうだったけどどこか淋しげでもあった先輩の笑顔とともにこのアルバムを思い出します。

ではまずUKオリジナル・モノラル盤ファースト・プレスからご覧ください。



今までジャケット・デザインのなかで大きな位置を占めていた「パーロフォン」のロゴ・マークは右下の目立たない位置に移動し、 mono(またはstereo)の表記や、THE BEATLESというアーティスト名はフロント・カヴァーからなくなりました。 そして左上にあしらわれたアルバム・タイトルの「RUBBER SOUL」というレタリングは、 いわゆる「サイケデリック」な時代の到来を思わせます。
ジョンがインタヴューで答えていたように、ジャケットまで自分たちの意見を反映させるようになった最初の作品です。

表のみコーティングが施され、裏は三方向に折り返しのあるフリップ・バックのスリーヴでGarrod & Lofthouse社製です。
バック・カヴァーにはハーフ・シャドウを生かした8葉の写真(撮影はロバート・フリーマン)が実にかっこよく収められていますが、 ぼくは左下の写真をなんとなくジョンだと思っていました。 でも、よく数えてみるとジョンが3枚にポールが1枚なんてありえない。
……ということはポールの写真なんですね。
ジョンとポールってまったく違う声質なのに、ときどきどっちが唄ってるかわかんなくなることがあるんですが、写真まで間違えちゃうとは……(笑)。



レーベルはおなじみのイエロー・パーロフォン、リムのクレジットは前作『ヘルプ!』から「THE GRAMOPHONE CO.LTD〜」で始まるものになっていて、 レーベル左側の表記も「(P)1965」という簡略化されたものです。
スピンドル・ホールの上には「SOLD IN U.K.SUBJECT TO RESALE PRICE CONDITIONS,SEE PRICE LISTS」というリマークがついています。
マトリクスはSide-1がXEX 579-1、Side-2がXEX 580-1で、俗にラウド・カットと呼ばれているものです。 ちょっと薄くて見えにくいと思いますがSide-1にタックス・コードの刻印KTがあります。
マザー・ナンバーとスタンパー・コードは、Side-1が「1/AA」で1枚めのマザー、33枚めのスタンパーから、 Side-2が「4/PO」で4枚めのマザー、65枚めのスタンパーからプレスされたことをあらわしています。
ディスクの重さは165gで、インナーもおなじみ「EMITEX」です。



ちょっと写りがよくないんですが、マトリクスの枝番-1の刻印です。

つづいて2ndプレス。まずご覧いただくのはスリーヴがErnest J. Day社製のものです。



フロント・カヴァーは「RUBBER SOUL」のタイトル・ロゴがやや明るめで鮮やかに見えます。
右下のパーロフォンのロゴ・マークの下に「TRADE MARK OF THE GRAMOPHONE CO. LTD」というクレジットが入っているのが、 G&L製、入っていないのがEJD製です。



バック・カヴァーの折り返しは、この写真ではわかりにくいと思いますが、Garrod社製より少し幅広になっています。
右下の製作会社のクレジット部分。



Garrod社には「12 LL」、Ernest社には「6512 LL」というクレジットが記載されています。



レーベルはイエロー・パーロフォンですがフォントが違っていて、マトリクス-1はサンセリフ系でしたが、 こちらはタイム・ローマン系のものが使われています。
マトリクスが「XEX 579-4、XEX 580-4」というセカンド・プレス、Side-2に タックス・コードMTの刻印があります。
マザー・ナンバーとスタンパー・コードはSide-1が「11/AGR」で11枚めのマザー、312枚めのスタンパーから、 Side-2は「7/R?DD」で、7枚めのマザー、200?枚めのスタンパーからプレスされたことになります。
ディスクの重量はファースト・プレスより重くて170gありました。
インナーはおなじみ「EMITEX」ですが、中央が透明ビニールの初期タイプになっています。

では、同じくマトリクス「XEX 579-4、XEX 580-4」という2ndプレスをさらに2枚ご紹介して、 レーベルのちょっとした違いを見ていただきましょう。



左側はタックス・コードがMTで、この年代としては比較的珍しいものです。
マザー・ナンバーはSide-1が「4(または)8」(4と8が縦に刻印されている)Side-2が「7」で、 スタンパー・コードはSide-1が「RHT」、Side-2が「AGR」となっています。 ディスクの重量はファースト・プレスと同じ165gです。このあたりは個体差かもしれませんね。
右側はタックス・コードがKT 、 マザー・ナンバーはSide-1が「4(または)10」(4と10が縦に刻印されている)、Side-2が「11」で、 スタンパーはSide-1が「ADL」、Side-2が「MDA」、 ディスクの重さは10gほど軽くなって155gです。
こういったふうに『ラバー・ソウル』では、タックス・コードMTKTが混在しており、 一概にMT刻印のほうが早いプレスとも言えない状況のようです。
それにしても2ndプレスのマトリクスが-4ということは、ずいぶんラッカー盤を切るのに苦労したようですね。

5枚めは再発のステレオ盤です。



表はコーティング・ジャケットですが、裏の折り返しはありません。Garrod & Lofthouse社製です。



レーベルはシルヴァー・パーロフォンでEMIのロゴが二つある2EMIマークス。 リムのコピーが「EMI RECORDS〜」で始まる74年以降のタイプで、 マトリクスはYEX178-5、YEX179-3、マザー番号とスタンパー・コードはA面が「2/RO」、B面が「24/GAL」 となっています。
プレスした人のイニシャルでしょうか、「HTM」というイニシャルが手彫りで刻まれています。 ディスクの重量は120gで、「Important Notice」と書かれたEMIのインナー・スリーヴに入っています。

つづいてUS盤をご紹介しましょう。
アメリカCapitolはUKオリジナル盤とは異なる独自の編集盤をリリースしてきましたが、このアルバムから同名タイトルのアルバムを出す ようになります。リリースは英国より3日遅れの65年12月6日

まずはオリジナルモノラル盤です。



レコード番号はT-2442で、ラバー・ソウルのロゴの色が違うほか、全体的な色味もやや違います。
パーロフォンのマークの替りにCapitolのマークが右上に入っています。
バック・カヴァーにはキャピトルのほかにEMIのマークもついていて、 曲名を表示する部分のレイアウトも英オリジナル盤とは違っています。


左下にはプロデューサー、ジョージ・マーティンのクレジット、右下にはフォトグラファー、ロバート・フリーマンのクレジット が入っています。右下のナンバーは6


レーベルはレインボウ・キャピトルで、マトリクスは手書きで、Side-1がT-1-2442-G-10で、その左に 同じく手書きで数字の2、Side-2はT-2-2442-G-12で、その右に刻印で数字の2が入っています。 ディスクの重さは140g。
*のようなマークが刻印されていますからLAプレスだと思われます。



残念ながらオリジナル・インナーはついていませんでした。ここでは同時期のアルバムから65年夏ごろに使用されたものを載せています。

つづいてはステレオ盤でレコード番号はST-2442



米キャピトルが「FULL DIMENSIONAL STEREO」というキャッチ・フレーズで音質のよさをアピールしていたことは、 第3回の『MEET THE BEATLES!』のところで書きましたが、それが改良され、 「NEW IMPROVED FULL DIMENSIONAL STEREO」となっています。
裏ジャケットのキャピトル、EMIのマークは左側に移動して、FDSの説明とロゴ・マークが加えられています。
右下の番号は12



70年代に出たアップル・レーベル盤で、マトリクス関係はSide-1がST-1-2442-H17#3、 Side-2がST-2-2442-H19#4で、ディスクの重量は145gです。
インナーは白いプレーンなものですが、US盤ではアップルのブラック・インナーを見たことがありませんから、 オリジナルなのかも知れません。

こうしてUK盤と同じタイトル、同じジャケットでリリースされたのですが、驚くべきことに収録曲が違うのです。


従来どおり収録曲はオリジナルより2曲少ない12曲で、しかも両面トップの曲がそっくりカットされ、 A面1曲目はポールの「I've Just Seen A Face」(「夢の人」)、B面トップはジョンの「It's Only Love」という、 いずれも前作『ヘルプ』に収められていた作品に入れ替えられているのです。
いったいどんなつもりでだれがこんな編集をしたのか、アメリカ盤におけるプロデューサーの表記がありませんので確かめようもありませんが、 これじゃあビートルズのメンバーも怒ったでしょうね。


もうひとつ特記しておかなければいけないのが、「I'm Looking Through You」にステレオ盤における別ミックスです。
まあ、「別ミックス」というほどのものでもありませんが、ジョンがイントロで2回もギターを間違えるようすがカットされずに 残されているのです。
これもジョンとしては不愉快だったのではないでしょうか。
逆にぼくみたいにギターを弾く人間からすると、ジョンにがぜん親近感がわいてくる楽しいミックスですが(笑)。

なお、ぼくが持っているアップル・レーベルはSide-1のみレーベルの下部に 「MFD. BY APPLE RECORDS, INC」というクレジットのあるタイプで、71年6月から75年9月にかけて使われたものですが、 「All rights reserved. Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.」 (版権所有。無断で複写すると適用法の違反になります。) という表記がリンゴの絵のうえに記載されたレーベルがあるという情報をMASAさんから提供していただきました。



A面はタイトルの上、B面はレーベル右下の部分にこの表記があります。
MASAさんがお持ちのこのレコード、マトリクス関係はA面が「ST-1-2442-G-21」、B面が「ST-2-2442-G-27」で、 L.A.プレスであろうということです。
75年以降に使用されたものといわれていますが、わりと珍しいレーベルだと思います。

キャピトル盤のレーベルの変遷については、たいへんにわかりやすくまとめられたMST!さんのサイトが こちらに ありますので、ご参照ください。

さて、新しいアルバムを構想していたビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンが、このアルバムを聴いてショックを受け、 最初の曲作りの段階からやり直して、その結果名盤『PET SOUNDS』が誕生したというのは有名なエピソードですが、 じゃあブライアンが聴いていたのはUKオリジナルなのか、それともUS編集盤どっちなのか、という論争が以前ありましたが、 最近はどうやら「US盤だった」ということで落ち着いたようです。
Drive My Car」も「Nowhere Man」もない『ラバー・ソウル』を聴いて『ペット・サウンズ』を作ったのです。 もしブライアンがオリジナルのUK盤を聴いていたら、どんなすごいアルバムになっていたのか、恐ろしいぐらいですね(笑)。

次は国内盤です。まず初回盤。
リリースは約3か月後の66年3月15日、カタログ・ナンバーはOP 7450で、ステレオ盤のみのリリースです。



ジャケットはシングルに戻り、上下に折り返しのあるフリップ・バック、コーティングの施されたいわゆるペラジャケです。


物品税の改定に伴い定価が1,800円から1,750円に下げられたため、シールが貼られています。




レコードはエヴァークリーン・シリーズの赤盤で、インナーは広告の入った「アド・スリーヴ」です。盤の重さは155g。


今までの国内盤についていた解説がなくなり、このレコードには高橋淳一という人の訳詩がついています。 そのためにリーフレットは4ページになっています。
これはぼくはすごいことだと思うのです。
とくに「Nowhere Man」や「In My Life」という、ジョンの内省的で精神的な成熟を示すような歌詞が きちんと日本のファンに伝わるような配慮があったということは、 いつも批判されることの多い東芝音工のスタッフの素晴らしいところだと思います。


さらにもうひとつ、問題提起をしておきたいと思います。
A面2曲目の有名な「Norwegian Wood (This Bird Has Flown)」は、ふつう「ノルウェーの森」と訳されることが 多いのですが、国内盤の初盤では「ノーウェジアン・ウッド」としか表記されていないのです。

村上春樹が『ノルウェーの森』という小説を書いたときに、だれもがビートルズの曲からタイトルを取ったと考えたぐらい、 このジョンの曲は「ノルウェーの森」として親しまれてきました。
ところが最近Norwegian Woodをノルウェーの森と訳すのは間違いで、ノルウェー産の家具と考えるべきだということがいわれるようになりました。 そこで、初盤についている高橋淳一の訳詩を見てみると、たとえば1番は次のように訳してあります。

「あの娘はおれのもんだった/ いやそれとも俺はあの娘のもんだった/
部屋に案内してくれてさ/ ノルウェー・スタイル愛の巣さ」

最後にもう一度出てくる「Norwegian Wood」は「ノルウェー・スタイル愛の朝」と訳してあります。 2回めがちょっと微妙ですが、いずれにしても高橋淳一が「ノルウェーの森」と考えていなかったことだけははっきりしています。

この曲を「ノルウェーの森」と訳すように言い始めたのはいったいだれだったのでしょう。 国内盤LPの発売からほぼ1年後にリリースされた国内盤EPで初めてこの邦題がお目見えしています。
これはやはり東芝音工のスタッフを責めなければいけませんね(笑)。

ちなみにぼくが持っているCDの解説ではタイトルは「ノーウェジアン・ウッド(ノルウェーの森)」になっており、 内田久美子という人の訳詩も「彼女は俺を部屋に招いて言った/”ノルウェーの森みたいに素敵でしょ”」
どんな部屋やねん、教えてくれ!!

9枚目は86年6月に発売された限定モノラル盤です。来日20周年特別企画と書かれた赤帯つき。



オリジナルにはないmonoの白抜きロゴが右上にありますが、これはこれで好きです(笑)。

レーベルはEMI/Odeonで、レコードは赤盤ですが、Odeonの赤盤とは盤質も色も違います。ディスクの重さは125g。
ビートルズ・シネ・クラブ サウンド研究会による解説と歌詞・対訳がついています。


なおこの解説では、A-2の曲名は「ノーウェジアン・ウッド」になっていますが、山本安見氏の訳詩は 「とにかく その娘はオレを部屋に呼んだ/ノルウェーの森みたいにシャレた部屋でしょ? どう?」となっています。
CDの訳詩はこの山本訳をふまえているのかもしれません。

最後にご覧いただくのは84年6月にリリースされたモービル・フィディリティー盤です。



バラ売りされたモービル盤を見るといろいろ違いがあるなあと感じさせられます。このジャケットはまったく光沢のない いわゆるUSタイプの厚紙ジャケットです。何年かすればカビが生えてシミもつき、リングウェアも出そうだなと思えてしまいます。 大事にしなきゃ(笑)。
表裏ともジャケットの最上部に茶色の帯状の部分がありORIGINAL MASTER RECORDINGのロゴが入っています。



レーベルはおなじみのEMIロゴの入ったホワイト・レーベル。上にブラウンでORIGINAL MASTER RECORDINGの文字が入っています。
レコードを保護する厚紙は『PPM』とおなじ青い帯で、両手の間にCDのあるイラストつきのもの。 今回はCDの広告の入った面の写真を撮ってみました。

では今回のオマケ。
CDがリリースされ始めてしばらくの間、US盤はトール・ボックスと呼ばれる高さ30センチの箱に入っていました。 レコード店でディスプレイするときにアナログ盤に隠れてしまうのを防ぐためだと思います。 ぼくが88年にハワイで買ったUS盤CDです。



箱の表には大変品質の高いジャケットのプリントが貼り付けてあります。 これだけ切り取って部屋のディスプレイにしようかと考えたこともあったくらいです。



CD自体は西ドイツ製(そんな国もありましたね!)で、価格は17ドル98セント。 はっきり覚えてませんが当時1ハワイ・ドルは83円ぐらいだったかなあ。 ということは1500円ぐらいですね。安い!

タイトル・ロゴががUSアナログ盤と同じ色なので記念に買ったのですが、ぼくが初めて買ったCDになりました。 当時はまだCDプレイヤーを持っていませんでしたから(笑)。


なお音質評価についてはモービル・フィディリティ・サウンド・ インプレッション/チャプター7をご覧ください。


special thanks to MASA
and Mr. MST!
© 2004-5 ryo_parlophone




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