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THE CAPITOL ALBUMS VOL.2

200644日のEU盤リリース直後から、『BEATLES VI』および 『RUBBER SOUL』が正規のモノラル・ミックスではなくステレオ・マスターを電気的処理によって モノラルにした、いわゆる「にせモノ」であるということがわかって、全世界の?ファンを嘆かせた 『THE CAPITOL ALBUMS VOL.2』(ここでは便宜的に『ボックス2』と呼んでおきます)。
もともと『The Early BEATLES』とUS盤『HELP!』には正規モノラル・ミックスが存在しないので、 そうなると今回は2 in 1とはいえ、オリジナル・モノラル・ミックスの醍醐味は味わえない、 ということになります。
今回の検証までに正規モノラル・ミックスが収録された改訂版?をなんとか手に入れたかったのですが、 残念ながら間に合いませんでした。
今後入手したら補足という形で取り上げたいと思います。

それでは『ボックス2』徹底検証、行ってみよう!
なお、ここで扱うのはUS盤(カタログ・ナンバーCDP 0946 3 57497 2 4)です。
EU盤については所有しておりませんのであらかじめご了承ください。

ではまずボックスの外観です。



相変わらずビートルズに対する愛情がちっとも感じられないデザインですね〜。
それでも『ボックス1』とはデザイン上の整合性を持たせているので、二つを並べてみると それなりの統一感は出てきます。



わが国ではレインボウ・キャピトルと呼ばれている60年代米キャピトル・レーベルの、イエローからロイヤル・ブルーに 変化する色彩のグラデーションをモティーフにしたデザインで、『ボックス1』とは天地が逆さまになっています。
これでいくと、『VOL.3』はマゼンタからグリーンあたりのグラデーションが使われるのかもしれません(笑)。



ボックス裏のいちばん上に書かれたコピーは、
For the first time on CD...
the original 1965 Capitol albums
presented in both stereo and mono

となっていて、「1965」という年号以外は『ボックス1』とまったく同じです。

フロント左上のシールは今回は黄色。
ここのコピーも基本的には前回と変わっていません。



First Time Ever on CD」から始まって
Digitally Remasterd and presented in both Stereo and Mono
Special packaging includes original album cover and artwork
60-page collector's booklet with rare photos

というもの。
偶然か故意か、前回にあった「Compiled from the original U.S. master tapes」という文句がないので、 まあ、ウソは書いてないわなあ…。

フロントのポートレイト、もともとはリンゴやジョンがタバコを手にしたものだったようで、 それをごまかすために画像処理がなされています。
タコ星人さんのブログ In My Life, I Love Them All...にリポートがあるので、詳しいことについてはそちらをご覧になっていただきたい のですが、タバコを消して、それだけじゃなくリンゴの指までレタッチしてあります。
リンゴ!肖像権で訴えろ〜〜!!(笑。




それでは中身を見てみましょう。
全部を広げるとこんな感じ。



左からアウター・ボックス、上がインナー・ボックス、その下はブックレット、そして4枚のペーパー・スリーヴです。

前回と一番違うのがインナー・ボックス。



『ボックス1』では両外にブックレットとCDが入っていたので、ボックスから取り出すときにCDがバラバラと落ちてしまう ということもありました。
(このあたりは 『ボックス1』の徹底検証をご覧ください)
今回は内側から取り出す形になっているので、CDが落ちることはありません。

2つのインナー・ボックスを並べてみました。





こうやって写真を撮ったり記事を書いたりしながらつくづく思うのは……
ほんとうに所有する悦びを感じさせてくれないボックス・セットだなあ…
ということです^^;とほほ…。

ブックレットのほうは例によってブルース・スパイザーのライナーにレア・フォトのついたもの。
お、これは以前ぼくがブログに載せたジョンのイラストと同じときのショットだ。



そうか、このときも手にはタバコを持ってたんだあ。

さあ、それではペーパー・スリーヴにいってみよう!!

ぼくは『The Early BEATLES』だけは米オリジナルのアナログ盤を持っていないので、 それ以外のものをちょっと比べてみましょう。
まず『BEATLES VI』。



US盤のスリーヴはバック・カヴァー用のスリックをフロントに折り返して、そこにフロント用のスリックを貼るという いわゆるフロント・シールデッド・スリーヴと呼ばれるジャケットですが、ペーパー・スリーヴはそんな手の込んだことは できません(笑)。
厚紙に直接写真を印刷して、機械でガチャンと折り曲げて一丁上がり!
しかし色のぐあいはかなりよく再現できています。



オリジナルのアート・ワークを再現したと謳っているとおり、バック・カヴァーも基本的にはオリジナルを踏襲。
右下にはファクトリー・ナンバーも残ってますね。

曲目表示のところを見ると、プロデューサーのジョージ・マーティンや画像の出所などもそのまま クレジットが残されていて、その間に
リマスタリング・エンジニアTed Jensen、アシスタントRyan Smith、 それにSterling Sound, New Yorkのクレジットが記載されています。



あるいは「MORE GREAT ALBUMS FOR YOUR BEATLES COLLECTION」という当時の広告をそのまま載せているところなど、 米国人にはどうでもいいことなのかも知れませんが、われわれにはうれしいところです。



あれあれ?
そのわりにはカタログ・ナンバーや「File Under: The Beatles」という表記、黒い丸印なんかは 思いっきり省略されてますね。
中途半端やなあ〜(笑)。

つづいて『HELP!』です。



これも色はよく再現できてますね。
バック・カヴァーのきれいな色合いもばっちり。



でもここではアップル・マークだけでなく、オリジナルになかったCapitolEMIのロゴ・マーク、 さらにはFDS(当時キャピトルの売りだったフル・ディメンショナル・ステレオ)や、RIAAのマークまで載ってます。
意味がわかりません。

そして最大の問題点は、オリジナルのゲイトフォールド・カヴァーが、単なるシングル・スリーヴになって しまったことです。
アナログ盤はカラー写真も使ったなかなか豪華な見開きだったんですけどね。



さて、もうひとつ前回と違うのはスパインにタイトルが表記されたことです。
オリジナルとはかなり違ってますが…。



最後は『RUBBER SOUL』。
これも米盤の渋い色合いをよく再現していると思います。



不思議なことにこちらのアルバムはカタログ・ナンバーも「File Under: The Beatles」も復刻。
でも黒丸はとほほな位置にあります。
みっともな〜い。
ちゃんと再現しろー!!



NEW IMPROVED FULL DIMENSIONAL STEREO」のロゴが天の余白の部分にあるか、フロントのスリックのなかに 印刷されているか、レコードとペーパー・スリーヴで違っていますが、これはどうなんでしょう。
ぼくが持っているステレオ盤は再発のものなので、アーリー・プレスではこういう仕様のものもあったのかも知れません。

「それにしてもなんなんだよ、この中途半端なへなチョコな紙ジャケは?!」
って思ってる方もたくさんいらっしゃるでしょうね。

でも、ぼくはこう思うんですね。
これは紙ジャケではない、ペーパー・スリーヴなんです。
「同じじゃねえかよ!」って、まあまあ(笑)。

そもそも、ぼくらの考える紙ジャケって、アナログ盤のジャケットをそのまま精巧にミニチュア化したもので、 江戸時代の豆本なんかにも通じる一種の芸術品だと思うんですよね。
ただ小さいだけじゃない。
たとえばSONYがウォークマンやポータブルのDATなんかで追求した、ほんとうに小さいんだけれども性能は落とさない、 というような哲学的なもの。
それが日本の紙ジャケにはあると思う。
でも、アメリカ人の考えるペーパー・スリーヴって、文字通り紙でできた容れ物なんですよ、おそらく。
その紙製の容れ物にオリジナル・ジャケットの写真を載せてるだけだから、ゲイトフォールドにする意味なんかありません。
もちろん、フロント・シールデッド・スリーヴなんて面倒くさいことするわけがない(笑)。

『ボックス1』の徹底検証で 書いたことをもう一度繰り返しますが、95年に米キャピトルはソニー・ロリンズがBLUE NOTEに残した 4タイトルのうち、3枚のCDをペーパー・スリーヴに入れたボックス・セットをリリースしました。
今回は画像も載せちゃいましょうね。




ボックスの裏にはちゃんと「IN MINIATURE LP SLEEVES」と書いてあります。
当時国内ではBLUE NOTEの紙ジャケは出ていなかったし、3枚組で3,590円という値段も魅力的だったので 迷わず購入しました。
でも、紙ジャケのできはほんとうにお粗末で、ただ単に紙のケースに入れたというだけの代物でした。



それから10年、アメリカにおける「MINIATURE LP SLEEVE」の概念はなんら変わっていないと思います。
でも今回久しぶりに手にとって見たら、なんとインナー・スリーヴがついてるじゃありませんか。
10年前のほうがまだマシだった(笑)。





それでは最後にアナログ盤と比較してのサウンド・インプレッションを記しておきましょう。

上にも書いたように、『The Early BEATLES』の米オリジナル・アナログ盤を持っていないのと、 『HELP!』は再発ステレオ盤しか持っていないので、少し変則的なインプレッションになるのをご了承ください。
で、聞き比べたのは「ツイスト・アンド・シャウト」と「プリーズ・プリーズ・ミー」、 「パーティはそのままに」のリアル・ステレオ・ヴァージョン、「イン・マイ・ライフ」のモノラル・ヴァージョンの4曲です。

まずは『The Early BEATLES』から。
1曲めの「ラヴ・ミー・ドゥ」が擬似ステレオなので、2曲めが始まったとたんヴォーカルとドラムスがサーっと左右に分かれる のはほんとうに愉悦ですね。
「ツイスト・アンド・シャウト」ではジョンの少し鼻にかかったヴォーカルや間奏の艶のあるギターのトーンなどなかなかのもの。
「プリーズ・プリーズ・ミー」ではポールの図太いベースが耳に飛び込んできて、サビのメロディアスな展開部など、 手に取るように聞き取れるのがうれしいところです。
(ちなみにこのアルバムはもともと「にせモノ」なので、この曲のモノラル・ヴァージョンでもジョンは 歌詞を間違えて笑いながら歌ってます。)

オリジナル・ステレオ(今回はUKイエロー・パーロフォンのステレオ盤との比較試聴)と比べると意外にデジタル臭さが目立ち、 音量を上げるとしだいに耳障りになるのが欠点ですが、 通常のヴォリュームでCDだけ聞いている分にはまったく不満はありません。


BEATLES VI』に収められた「パーティはそのままに」も今回のCDはなかなかいいと思います。
高域を伸ばしたせいで、右チャンネルのジョージの弾くグレッチ・テネシアンがやや耳につきますが、 ポールのベースが相変わらず太い音で低域をがっちり固めています。

アナログ盤のほうは全体的にマイルドでヴォーカル、ハーモニー、コーラスが見事なバランスでとらえられています。
おもしろいのはジョンの弾くJ-160Eで、独特のシャカシャカした音色がほかの楽器とブレンドされて じつにパーカッシヴに響くのですが、CDではギターの音としてはっきり分離して聞こえてくるので 一瞬オルタネイト・ミックスを聞いているかのような錯覚に陥ります(笑)。


RUBBER SOUL』の「イン・マイ・ライフ」では、オリジナル・アナログ盤のストラトキャスターの音が じつに魅力的です。

CDではシンバルやタンバリンがかなり耳につき、間奏のピアノもいかにも人工的に響くのが残念ですが、 ヴォーカルとコーラスはベールを2枚ぐらい剥がしたように瑞々しく聞こえ、この部分では(少なくともぼくの持ってる アナログ盤は)まったく敵いません。

市場にはすでにリアル・モノラル・ヴァージョンを収録した改訂版が出回っているようですが、 入手にはもう少し時間がかかりそうです。
入りしだい、追加の記事をUPしたいと思います。



© 2006 ryo_parlophone




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