キャピトル・ボックス徹底検証

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すでにいろんなサイトで『キャピトル・ボックス』についての検証がなされている と思いますが、いちおうぼくなりの検証をしておきたいと思います。
なお、ここで扱うのはUS盤(カタログ・ナンバーC24X-66878)です。それ以外のEU盤、国内盤については、所持しておりませんので あらかじめご了承ください。

ではまずボックスの外観からご覧ください。




前もって公表されたとき圧倒的な不評で迎えられた(笑)デザインです。

フロント左上にシールが貼ってあります。



いわく、「オリジナルのUSマスター・テープから編集」、
いわく、「オリジナル・アルバム・カヴァーのアートワークを再現したスペシャル・パッケージ」。
う〜ん、期待を持たせるコピーですねえ。

ところで、ぼくの元に届いたとき、小口(背表紙の反対側ですね)の色は黄色でした。つまりボックス上部の色と同じです。
近所のCDショップに行って国内盤をチェックしたときは小口の色はロイヤル・ブルーみたいな、ボックス下部の色と同じでした。
つまりこんな感じ。




左はUS盤、右は国内盤のイメージです。

さて、これがどういう意味を持つのか。
ボックスから内側のパッケージを取り出すと……。




こうなります。
US盤はCDの収められている部分が下になりますので、うっかり引っ張り出すと、CDがバラバラと下に落ちる危険性があります。
実際にそうなったという掲示板への書き込みもありました。
なんとかならないもんですかね。
その点、国内盤は両側に支えのあるブックレットの方が下に来るので落ちる心配はありません。
さすが国内盤。配慮が行き届いてます!
(もちろんこれは皮肉です。東芝EMIの社員の方、見てますか?!)




内側のパッケージをひっくり返したところ。
曲目の一覧と、オリジナル・スリーヴの写真が掲載されています。

このパッケージは二つに折ることができるので、CDラックに並べるときはボックスから出したほうが便利です。
それにしても紙ジャケの背表紙にタイトルの表記がないというのはさびしい……。



中のCDとブックレットを引き出したところ。なぜか『SECOND ALBUM』と『SOMETHING NEW』が入れ替わってました。
ま、そんなことは気にしてないですよね。CDが落ちるのも気にしないんだから…。




さて、紙ジャケです。
これがずいぶんいいかげんな仕事で大ブーイングの嵐ですが、USキャピトルとしては十分な仕事のつもりなんでしょう。
掲示板にも書きましたが、9年前の1995年にリリースされた、ソニー・ロリンズのBLUE NOTEのアルバムを収めた 3枚組のボックス・セットの紙ジャケも同じようなちゃちなものでした。
つまり9年間進歩がないのです。

オリジナルのスリーヴはフロント・シールデッド・スリーヴと呼ばれる、フロント・カヴァー用のプリントを貼り付ける 形式ですが、紙ジャケはオリジナルを複写しただけというお粗末。
ちなみに『MEET THE BEATLES』の1stプレスは「BEATLES!」のロゴがワイン・レッドに近いブラウンだったと思うのですが、 紙ジャケではダーク・オリーブになっています。




左側がオリジナル(2ndプレス)、右が紙ジャケです。

もうひとつだけ、典型的な例を挙げておきます。

これも『MEET THE BEATLES』ですが、スリーヴの「天」の部分にある黒丸が表と裏でずれています。 それにしてもひどいずれかただなあ。



BEATLES '65』のバック・スリーヴをオリジナルと比較してみましょう。




左がCD、右がオリジナルです。
曲目がずいぶん多いのはステレオとモノラル両方のミックスをそれぞれ記載しているからです。
あれれ、下のアルバムの紹介は数が少なくなってる。
そのほか「HIGH FIDELITY RECORDING」のロゴ・マークがなくなっていたり、アップル・マークが加わっていたり。
たしかオリジナルのアート・ワークを再現って書いてあったよなあ……。

次はレーベル。



オリジナルとは似ても似つかないレーベルになってしまいました。

ということでいろいろ不満のある、というより課題満載のキャピトル・ボックスですが、肝心の音のほうは なかなか素晴らしい出来です。
まず全体的な印象を述べると、非常に自然な音という感じがします。

ぼんやりと聞いているとアナログ盤を聞いているのかと錯覚するほどです。
けれども帯域の上と下がカットされたナローな音とか、歪が多いとかいうわけではありません (後述するようにわざとアナログ・マスターの歪を残している部分はあります)。
細かいことをいえば、キャピトル・ミックス独特の迫力が薄れて、ちょっぴりすっきりした綺麗な音に なってしまったというような不満もありますが、十分鑑賞に堪える21世紀の音といえるでしょう。

ステレオ・ミックスはオリジナルのレインボウ・キャピトルと比較すると、 全体的に音がすっきりしてそれぞれの音の見晴らしはいいのですが、混然とした勢いは抑えられています。
シンバルなどの高域はアナログより伸びて、その分少し細身になった感じがしますが、 ベースなどの低域はオリジナルより量感たっぷりで朗々と鳴ります。
ただキャピトル・ミックスの特徴であるエコー感は控えめになっています。

たとえば「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」を比較すると、オリジナルではイントロのポールのカウントが鼻にかかって聞こえ、 中間部左chに入るジョージのギター・ソロもエコー成分が盛大に右chに流れます。
CDではギター・ソロのエコー感は抑えられ、ポールの声の鼻にかかる感じもやや薄れています。
擬似ステレオではたとえば「This Boy(こいつ)」を聞くと、アナログではサビの部分でジョンの声が不自然に広がるのですが、 CDではそれがうまくまとめられ、不自然な感じはほとんど解消しています。


70年代に入って再発されたアップル・レーベルのステレオ盤しか持っていない『SECOND ALBUM』や 『SOMETHING NEW』になると、CDのステレオ・ミックスのよさが目立ちます。
たとえば「I Call Your Name」では、アナログだと右chのカウベルの音がかなり尖った音で、ベースも 定位がややはっきりしない感じなのに、CDではカウベルの音に芯があってじつにいい音だし、 ベースも存在感のあるいい鳴りっぷりです。

すてきなダンス」のアナログ盤は、ジョージの声がリアルで、右chのギターもいい音なんですが、 左chのシンバルがシャワシャワと歪っぽい音で鳴るのがやや耳につきます。
CDになるとシンバルはちょっと音が整理されたみたいに聞こえますが、 ジョージの声はさらにリアルで、40年も前の録音とはとても思えません。
まったく違うのが、この曲のポイントともいえる、中央で鳴るバスドラです。
アナログに比べるとCDは厚みがあってドゥンドゥンと響きます。
おそらくオリジナルのレインボウ・キャピトルならCDよりもさらに腹に響き渡るのでしょうが、 アップル・レーベルでは低域不足はどうしようもありません。

モノラル・ミックスになると、さらにアナログ盤とCDの差が少ないように思えます。
It Won't Be Long」は、アナログ盤では中域重視の音作りで、すべての音が塊となって飛び出してくるような 荒々しい迫力がありますが、CDでは歪成分の多い荒っぽいキャピトル・マスターのまま帯域を上下に広げた感じです。
UK盤CDと聴き比べるとはっきりわかるのですが、ジョンのヴォーカルなどもイコライザーをかけて派手にしたような感じが そのままCD化されています。

Till There Was You」でも、UK盤CDの美しく澄み切ったポールの声は、キャピトル盤ではザラッとした感触の、 独特の迫力をもった声になっています。

過剰なエコー処理で悪名高い「アイ・フィール・ファイン」を聴いてみると、アナログ盤はそれこそ音響処理の悪い体育館かどこかで 演奏しているような音ですが、CDではずいぶん控えめになっています。
曲の最後のホッホーというような叫び声(?)もはっきり聞こえます。

モノラル・ヴァージョンでいちばんうれしいのはやはり「ぼくが泣く」のロング・ヴァージョンが聞けることですね。
2番の後に1番が繰り返されるのですが、ジョンのヴォーカルが違うので、いわゆるexteded mixではありません。


もともとCapitol盤にそれほどの興味がもてなかった管理人としては、今回のCD化はその素晴らしさを見直すきっかけになりました。
しばらくは車の中でもキャピトル・ボックスを聴き続けそうです。



© 2004 ryo_parlophone




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