BEATLESのアナログ盤


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SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND
いつものように個人的な思い出から話を始めさせていただくことをお許しください。
このアルバムが発売された当時、街のレコード・ショップのショウ・ウィンドウに このジャケットが何枚も飾られていた光景は今でもはっきり目に焼きついています。 もちろん赤い帯のついた国内盤でしたが、 帯には「イギリスと同時発売!」と書いてあって、それがなんだかすごいことのように思えたものでした。

そのころ中学1年生だったぼくは「ビートルズもずいぶん難しくなっちゃったなあ」と感じていました。
ペーパーバック・ライター」まではすごくポップな感じだったのに、 「ストロベリーフィールズ・フォーエヴァー」になると曲の終わりに雑音のようなものが入ってきて、 それは当時まだアイドルだったアメリカのモンキーズや、サイケデリックを象徴するかのようなジェファーソン・エアプレインの ようなバンドにまで影響を与えていると感じていたのでした。
ラジオでオン・エアされる曲の中には「When I'm Sixty Four」のようなわかりやすい曲もあったのですが、 全体的には明らかにひとつ上のレベルにアップしたという印象がありました。

近年とくに筋金入りのロック・ファンからの評判が低落しているようですが、 リアル・タイムに聞いていた人間からすれば、このアルバムはほんとうに当時のビートルズ音楽の集大成という感じがしたものです。
1曲目から最後まで通して聞いたのは高校生になってからでしたが、全体を貫く「ビートルズのアルバム」としての存在感は やはりほかのロック・グループのアルバムと比べても圧倒的なものがありました。
ジョンの「コンセプト・アルバムって言われてるけど眉唾ものだね」というコメントからもわかるとおり、 おもにポールのアイディアを基にアルバム作りが行われ、ジョージ・マーティンを初めとするアビー・ロード・スタジオの スタッフの献身的な作業によって生み出された奇跡的なアルバム!だと今でもぼくは思っています。
とくに傷心の日々を送っていた17歳の夏、どれだけこのアルバムに慰められたことか……。
関係ありませんね。失礼いたしました。

ではUKオリジナル・モノラル盤からご紹介していきましょう。1967年6月1日のリリースで、レコード番号はPMC 7027、 ステレオ盤はPCS 7027です。



裏表ともヴィニール・コーティングの施された美しいスリーヴの上には70人もの有名人に囲まれるビートルズの4人が写っています。 ピーター・ブレイクがデザインしたこのジャケットはいろいろな意味で大評判になりましたね。 そしてぼくらがマダム・タッソーの蝋人形を知ったのも、このジャケ写だったような気がします。
バック・カヴァーには収録曲の歌詞が印刷されていて、これもポップスのアルバムとしては初めての試みだったようです。



ゲイトフォールド・カヴァーの内側。
4人の軍服調のコスチュームも話題になりました。 このころ流行りましたね、日本のグループ・サウンズはスパイダースと初めとしてみんな争うようにミリタリー調の服を着たものです。
ジョンやポールの瞳孔が開いている(ように見える)のはドラッグでぶっ飛んでいたからだともいわれ、 「Lucy in the Sky with Diamonds」はLSDによってストーンドしたときに作った なんてこともまことしやかに囁かれたりしました。たしかに今聴いてもカラフルで刺激的な音と詩ですね。
内側もラミネート加工されてたいへん美しい仕上がり。



1stプレスは上部に折り返しのあるスリーヴでGarrod & Lofthouse社製です。





レーベルはイエロー・パーロフォンで「SOLD IN U.K.〜」というリマークがあります。 タックス・コードはKT。ディスクの重さは160g。
マトリクス関係はSide-1がXEX 637-1/4/RL、Side-2がXEX 638-1/4/RTとなっています。 両面とも1番目のラッカー盤、4枚目のマザーを使用し、 A面は28番目、B面は29番目のスタンパーからプレスされたことを表しています。
インナー・スリーヴもコンセプチュアルな考え方からデザイン集団ザ・フールの手になる波の模様を思わせるものになっています。 これも日本では「サイケ・スリーヴ」などと呼ばれることがありますが、なんでもかんでもサイケって呼べばいいってもんじゃないでしょう(笑)。
さらに「SGT.PEPPER'S CUT-OUTS」と題された紙製のおまけもついています。これもデザインはピーター・ブレイク



さて、『サージェント』はマトリクスの枝盤が長いあいだ「-1」のままだったので、どれがファースト・プレスなのか、よく話題になります。 別稿のYellow Parlophone Data Baseでは背の部分が広い「wide spine」をファースト・プレスとしましたが、 これはポールの「ペラペラの薄いジャケットにはしたくなかった」「第2刷からは薄いものにされてしまった」という発言に基づいています。 あるいは裏ジャケのG&L社のクレジット部分に「Patents pending」の表記があるもの、 また内側の折り返しの部分に「Fourth Proof」という表記のあるもの、 などいろいろな説があります。 詳しくは紙ジャケ探検隊の特集記事(ビートルズ ネイキッド ミニ検証)を参考にしてください。



ぼくが持っているものはワイド・スパイン(写真上=厚さ約8ミリ、下は通常盤)ですが、 Garrod & Lofthouse社のクレジットの右に「Patents pending」の表記はありません。



その上のクレジットを見ると「The Apple」という名称が始めて登場しています。
A splendid time is guaranteed for all」という誇らしげなコピーの上には モノラル盤を表す「This is a mono recording.」という表記もあります。

つづいてUK再発盤1977年に新品で購入したものです。 このころはすでにステレオ盤しかリリースされなくなっていました。



ジャケットはオリジナルのイエロー・パーロフォンと変わりがありません。 ワイド・スパインではないのと、ステレオ盤ですからその部分の表記に違いがあるだけです。 ジャケットの背の厚みは4ミリ。



バック・カヴァー右上のレコード番号「PCS 7027 Stereo」という表記と、右下、下から2行目の 「This is a stereo recording.」の表記がモノラル盤とは違うところ。
内側はコーティングされていますが折り返しはありません。





レーベルは2EMIボックスド・ロゴシルヴァー・パーロフォンで、「EMI RECORDS〜」で始まる後期タイプです。 マトリクス関係はA面がYEX 637-3/2/T、B面がYEX 638-3/3/LLとなっています。 さらに12時の方向に「HTM」という手彫りのイニシャルがあります。レコード盤の重さは120g。
インナー・スリーヴはおなじみの「Important Notice」と書かれたカンパニー・スリーヴに変わっています。

アルバム『サージェント・ペパーズ』のいちばん最後には、犬にだけ聞こえるといわれる15kHzの笛のような音 (いやいや、よーく耳をすますとぼくら人間にも聞こえるような気がするんですが)と、意味不明のおしゃべりが収録されていますよね。
ぼくが77年にUK盤を初めて聴いてびっくりしたのは、このおしゃべりがレコード最後のいわゆる送り溝といわれる部分に 刻まれていて、オート・リターン機能のついていないレコード・プレイヤーの場合、いつまでも音が再生され続けることです。
永遠に終わらないレコード。こんなアイディアもビートルズ以前にはだれも考えつかなかったものですね。

次はUSステレオ盤です。ここにきてやっとオリジナルと同じ内容のアルバムがアメリカでもリリースされることになりました。 米国のファンはこの日を待ち望んでいたことでしょう。
リリースは英国と1日違いの67年6月2日、運命的とも思える、まさにサマー・オヴ・ラヴの引き金になるようなタイミング で発売されています。レコード番号はSMAS 2653、モノラル盤も発売されました(レコード番号はMAS 2653)。



ジャケットはおなじみ、表写真の印刷されたプリントをスリーヴの上に貼り付けたかたちですが、左により過ぎているため ヘヴィー級チャンピオン、ソニー・リストン・スミスの顔は半分切れかかっています。
モノラル盤にはありませんが、ステレオ盤には上部に黄色のラインがあってSTEREOと表記されています。 モービル・フィディリティ盤のデザインはこのあたりにルーツがあるのかもしれませんね。



オリジナル・レインボー・レーベルでマトリクスはSMAS1-2653-A1#2/SMAS2-2653-B2。 ディスクの重さは140g。
インナーはUKオリジナル盤と同じザ・フールのデザインによるものがついていますが形状が微妙に違っています。



左は「MADE IN GREAT BRITAIN PATENTS APPLIED FOR」と書かれたUK製。 右は「PRINTED IN USA BPE 12-1」と書かれたUS製です。



UK盤と同じカット・アウトがついています。

ぼくの持っているものはバック・カヴァー右下の表記が2種類あります。



右側のものは「All rights for the United States〜」という表記が3行にわたって挿入されているので、 「1967 NEMS〜」というコピーが右端に移動し、縦の表記になっています。

のちに米キャピトルによって「Sgt. Pepper Inner Groove」と呼ばれるようになる、最後の意味不明のおしゃべりは 収録されていません。

続いて国内盤です。まずオデオン・レーベルのステレオ盤(モノラル盤は当時発売されていません)で、 レコード番号はOP-8163
このあと見ていただくように「イギリスと同時発売」と書かれた帯がついていたのですが、 帯のコピーとは違って1か月遅れの7月5日発売です。



ヴィニール・コーティングの美しいジャケットはUK盤を髣髴させます。
ところが、トリミングのために画像の一部が欠けてしまっています。



ジャケットの中央右端にシャーリー・テンプル(往年の名子役)の人形が置いてありますが、彼女の着ているセーター(トレーナー?)に 「WELCOME THE ROLLING STONES」と書いてあって、左袖のところに「GOOD GUYS」とあるのが UKオリジナル盤ではきちんと写っています。 国内盤(写真右)ではそれが見えません。肝心なところなのに……(笑)。

残念ながら内側はコーティングがされていません。



レコードは赤盤で、東芝音工のアド・スリーヴに入っています。



オリジナルの赤白のスリーヴではないのと、カット・アウトが付属していないのが国内盤の欠点。
予算的に、あるいは発売日の日程的に難しかったのでしょうか、それともそこまでオリジナルを尊重する考え方がまだなかったのか?
そういえば「Sgt. Pepper Inner Groove」も、最後の溝(インナー・グルーヴ)ではなくて 「A Day in the Life」の終わりに1回だけ収録されています。

5枚目はレーベルがアップルになってからの再発盤で、レコード番号はAP-8163。1969年のリリースです。



ここについている帯はアップルのマークとレコード番号以外は初盤とほぼ同じものです。 (ただしオデオン盤の帯は厳密にいうと2種類存在します)
比較的最近手に入れたものですが、ジャケットも帯も新品のような輝きを保っています。





レコードはアップルの黒盤(赤盤も存在します)で、黒のインナースリーヴ入り。



カット・アウトも解説もついていませんが、曲目カードが付属しています。

次は86年6月4日限定盤として発売されたレッド・ヴィニールのモノラル盤です。 レコード番号はEAS-70137



コーティングのない厚紙のゲイトフォールド・ジャケットで、 オリジナルにはない「mono」のロゴが右上にプリントされています。
「来日20周年特別企画」と書かれた赤帯つき。
以前から繰り返し書いていますが、この国内モノラル盤の音は鮮度が高く、ぼくはオリジナルのモノラル盤よりこちらのほうをターン・テーブルに 載せるほうが多いのです。
最後のおしゃべりは収録されていません。



ディスクは赤いヴィニール製で、オデオンの赤盤とは色も材質も異なっています。
裏ジャケット上の表記はオリジナル盤とは違って 「(P)1967 Original Sound Recordings Made by E.M.I.Records Limited」 となっています。


つづいてはモービル盤です。85年9月発売でレコード番号はMFSL 1-100。 記念の番号を与えているような気がします。



ヴィニール・コーティングではありませんが、艶のある美しいジャケット。 表裏とも、いちばん上の黄色い帯状の部分に「ORIGINAL MASTER RECORDING TM」と表記されています。 ゲイトフォールド・カヴァーです。



レーベルとディスクを保護する厚紙。
最後のおしゃべりは最内周の溝に刻まれておりエンドレスに再生されますが、15kHzの笛の音は入っていないようです。

では、最後にピクチャー・レコードを2種類紹介しておきます。



まずUK盤から。 1979年1月15日に限定発売されたもので、一見ふつうのレコードに見えますが、ディスクには表ジャケットの写真が印刷されています。



コーティング・カヴァーで裏には歌詞も印刷されていますが、ゲイトフォールドではありません。



レコード番号はPHO 7027で、スリーヴは英国製、ディスクは西ドイツ製という表記があります。
なお、同年4月11日にはディスクもスリーヴも西ドイツ製、8月には両方とも英国製のピクチャー・ディスクがリリースされています。

つづいて国内盤です。UK盤に先だつことおよそ1年、1978年2月にリリースされたUS盤のデザイン を踏襲したものです。国内盤のリリースは1978年12月25日
スリーヴの表は黒を基調にしたもので、裏は曲名とオリジナル・ジャケットの写真が小さく載っているシンプルなデザインです。



特別限定盤/ピクチャー・レコード」と書かれた黒地にピンクの帯つき。
スリーヴからレコードを取り出したところです。



ディスク本体はSide-1がオリジナル・ジャケットの4人の部分を拡大したもの、Side-2は「SGT.PEPPERS」のドラムヘッドの部分の 拡大画像になっています。



Side-2のドラムヘッドの一番下の部分には、レコード番号やマトリクス・ナンバー、JASRACのロゴとともに、ディスクの制作会社でしょうか、 JAPAN MUSICOLOR CO. LTDというクレジットとロゴ・マークがプリントされています。



吹田靖治氏の解説と、歌詞、吉成伸幸氏の対訳がついています。吹田靖治氏の解説は今から見るとかなり大袈裟なもので、 ちょっと時代を感じさせます(生意気を言ってすみません)。

なお、 モービル・フィディリティ・サウンド・インプレッションでは、5種類のディスクについて音質比較試聴を行っています。 併せてご覧ください。


最後にカット・アウトとおしゃべり(「Sgt. Pepper Inner Groove」)の収録状況を表にしておきます。

discCUT-OUTSSPIG
UKmonoendless
stereoendless
pictureendless
USmono/stereo×
MFSL×endless
JPNOdeon×once
mono××
picture××


© 2004 ryo parlophone




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