BEATLESのアナログ盤


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第8回『Yellow Submarine SONGTRACK』

『Yellow Submarine SONGTRACK』は1999年9月17日に英国で発売されました。
もう5年も経つんですね。
1987年にビートルズの音源がCD化されるとき、『HELP!』と『RUBBER SOUL』の2枚はジョージ・マーティンによってデジタル・リミックスが施されましたが、『SONGTRACK』はそれ以来の、しかもジョージ・マーティン以外の手になるデジタル・リミックスということで、全世界のファンは期待と不安でこのアルバムのリリースを待ちわびました。
さて、その結果はぼくとしては大変満足のいくものでした。

EMIアビーロード・スタジオのシニア・エンジニア、ピーター・コビンは、リアル・タイムにアナログ・レコードを聴いてきたオールド・ファン(…って、ぼくのことか)もCDを聴いてファンになった新しい世代も、両方が違和感なく聴けるリミックスを施していると思います。



UKアナログ盤は正確にはEUプレスです。CDならばオランダが有名ですが、アナログはどこでプレスしてるんだろう。どなたかご存知ですか。
コーティングのないゲイトフォールド・ジャケットは高級感あふれる、っていう感じではありません。
けれども内側はやはり豪華です。CDのちっちゃなリーフレットと比べるととっても楽しい感じです。





プレーンな白のインナー・スリーヴにイエロー・カラーのディスクです。
黒盤もリリースされたと思いますが、レギュラーはイエロー・カラーでした。今考えてみれば黒盤も買っておけばよかった……。
表ジャケットの左上にはヴィデオとDVDの広告の黄色く丸いシールが貼られています。また裏ジャケットにはレコード番号とバー・コードと
「Printed in the EU」の表記があります。そういえば海外盤はバー・コードがすなわちレコード番号なんだ……。合理的というか無味乾燥というか(笑)。


つづいて国内盤。レコード番号はTOJP−60145。


帯はCDによくあるタイプで、ジャケットの写真を背景に、上にタイトルやコピーを載せたもの。矢印帯や丸帯が懐かしい世代には、あまりぴんと来ない帯かもしれませんね。
コピーは「ザ・ビートルズを主人公にしたアニメーション映画『イエロー・サブマリン』のソングトラック。
アニメーションの中に登場するザ・ビートルズの楽曲15曲を収録!」というもの。



ディスクは黒盤で、ビートルズのLPとしては『アット・ザ・ハリウッド・ボウル』以来のピクチャー・レーベルです。

帯と並んで国内盤の目玉である解説、今回は「監修:ザ・ビートルズ・クラブ代表 斎藤早苗  文/翻訳:葉山 真、水谷宗一郎」となっています。国内盤CDのときは「解説/ザ・ビートルズ・クラブ」で最後に「文責/淡嶋美和子
1999年7月」とありましたから、今回新しくなっているわけです。
CDでは「エンディングのコーラスは、リード・ヴォーカルを中心にハーモニーが左右に広がっている。……」というふうに、リミックスの特徴が書かれていましたが、今回のアナログ盤の解説では「『オリジナル・ヴァージョンと違って、波の音が左右のスピーカーに振れ……』などの細かい聴き比べはやめておこうと思う。そんなことより……」と切り捨てられています。ま、いいけど(笑)。
裏のバー・コードの下の表記は本来の発売予定日だった「03・12・10」のままになっています。


さて最後に、CDと同時に発売されたレーザー・ディスクを紹介しておきましょう。



ジャケットはLPとはわずかにレイアウトが違っています。レーベルも残念ながらピクチャー・レーベルではありません(笑)。




さて、それではCD(国内盤TOCP−65300)と英国アナログ盤、そして今年1月にリリースされた国内アナログ盤を聴き比べてみたいと思います。

今回このアルバムを取り上げようと思ったきっかけは、先日アナログ盤を聞きながら仕事をしていたときに、これはCDよりいいぞと思った曲と、この曲はCDのほうがいいなと思った曲と二通りあったことなんです。
CDとアナログ、じっくりと聴き比べてみました。

まずCDですが、大変にバランスの取れたリミックス、リマスターになっていると思います。
収録された楽曲は65年から67年にかけてレコーディングされているのですが、このころの3年間のレコーディング技術の発達というのは目覚しいものだったはずで、実際、オリジナル・アルバムを順に聴いていくとどんどん音がよくなっていく印象があります。
ところがこのCDでは、そういうアルバムごとの音のギャップをほとんど感じさせないような丁寧なリミックスが施されています。

全体的な印象としては音がたいへんに立体的になっていて、ヴォーカルはリアルで、コーラスも分離がよくて一人ひとりの声が聞き分けられます。木管やストリングスは美しく響き、ピアノやベースの音には実在感があって躍動感も感じられる、といったところです。

これに対してアナログ盤ですが、個人的にCDよりも音楽を楽しめたのは、 A−3「Eleanor Rigby」、A−6「Lucy In THE Sky With Diamonds」 B−1「Baby You're A Rich Man」、B−3「All You Need Is LOVE」、 B−5「Nowhere Man」などです。

たとえば、「All You〜」では、イントロ左チャンネルのチェンバロが大変美しく響きます。ジョンの声はさらにリアルになり、弦もブラスも角がとれてまろやかに響くといった印象です。「Baby You're〜」では、ポールのベースが地を這うような重低音で響き渡ります。
もっとも印象的だったのは「Nowhere Man」のジョージの弾くストラトがほんとうにストラトらしく聞こえることです。CDではきれいに響きすぎてストラトらしいザクッとした音色が薄れます。ベースもアナログのほうがしっかりとした存在感があります。

先日から話題になっている雑誌『BEAT SOUND』のなかに、「音質的にはこの東芝EMI盤のほうが優れていると感じされる箇所が多く」と書いてあり、UK盤信奉者のぼくとしては「そんなこといったって、マスター・テープのジェネレーションが違うはずだから、やっぱUK盤のほうが上でしょ」と思っていたのですが、たしかに国内盤のほうがいいなと思える部分もありました。
UK盤は、たとえば「Yellow Submarine」ではコーラスの分離が悪くなり、「Eleanor〜」では弦の解像感がイマイチのように感じます。
しかし全般的には低音がしっかりとしていて、ベースの音にもコシがあり、国内盤よりはUK盤のほうがぼくは好きです。


© 2004 ryo parlophone




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