紙ジャケCDの誘惑


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Chapter 7 "ABBEY ROAD"
by BEATLES


original : UK Apple PCS 7088, Sept.26, 1969
paper sleeve : Russia ? VC 04-05, 2004

「『アビイ・ロード』の紙ジャケがディスク・ユニオンにあった!」という申戌さんの書き込みを 紙ジャケ探検隊の掲示板で見たのは9月15日だった。
ブートなのかオフィシャルなのか、情報も入り乱れ、どうやらロシア国内では正規に販売されている商品の ようだということで、思い切って見ず転で注文してみた。
(ちなみにブートの紙ジャケにはなぜだかあんまり食指が動かない。キャピトル・シリーズも未購入だ。)

その間、ユニオンからは「品切れ、再入荷未定」というメールが届いたりして、ちょっとあせったこともあったのだが、 あれからほぼ2週間、なんとか手に入れることができた。
よかった、よかった。
さて、気になる紙ジャケの出来は…?
音は…?












いやあ、素晴らしいです!

すっかりやられてしまった!

ではまず、スリーヴから見ていこう。

ほどよい薄さ(というよりはちょっと厚めかな?)の紙にヴィニール・コーティングが施され、出来は上々。
画像もきちんとピントが合っていて、どこかの国で最近再プレスされたアナログ盤のジャケットよりは 数倍よい出来だと思う。

ちなみにオフィシャルCDのジャケットより画像は緻密だ。

フロント・カヴァーはオリジナルの1stプレスに比べると、やや赤みが強く、どちらかというと USアップル盤に近い色合いだが、四隅の画像の欠けはほとんどない。

バック・カヴァーを見るとちゃんと「レフト・アップル」になっている。
芸が細かいというより、こだわりましたという感じだ。

一番下にも「Printed by Garrod & Lofthouse International Ltd」の文字が入っていて、 UKオリジナル盤のミニチュア復刻という意図を感じさせる仕上がりになっている。


背表紙のカタログ・ナンバーもオリジナルどおりである。



そしてインナー・スリーヴだが、これにもしごく感心した。

オリジナル・プレスのダークグリーン・アップルをきちんと再現している。
ここまできちんとした仕事をしてくれるとほんとにうれしくなるなあ。

政情不安定なロシアで、ビートルズのミニチュアLPに情熱を燃やすコレクターや職人さんたち。
いったいどんな人たちなのだろう、会ってみたいなあ(笑)。
ディスク本体
個人的にはこれが唯一「?」だった。
レーベル周りにはロシア語のクレジットがあり、 しかも日付らしい「09. 07. 1993」という表記や、「5351-1」という数字などが印刷されている。

ひょっとしたら、ロシア国内でオフィシャルとしてリリースされているCDのパテント関係のクレジットなのかもしれない。
中には英詞とそのロシア語訳(?)がプリントされたいわゆる歌詞カードが入っている。
なんだかファンへの愛が溢れてるなあ。

この紙ジャケCDで、初めて『アビイ・ロード』を聞く人もいるんだろうなあ。
すくなくとも旧ソ連の時代には『アビイ』のアナログ盤は出てなかったみたいだから…。
では、オリジナルのアナログ盤と実際に比べてみよう。
まずフロント。

オリジナルのほうが寒色系がやや強く出ているが、 空の色などはよく再現できている。
バック・カヴァーもこうやって比べてみると、けっこう色味に違いがある。

でもちゃんと「レフト・アップル」です(笑)。
インナーはお見事だ。
レコードの上にこうやってインナーを置いても、ほとんど差が感じられない色再現性である。
これぞダークグリーン・アップル

しかも大きさを揃えてますぞ。
どうです、このこだわり!素晴らしい…。

でもよく見比べるとちょっとピントが甘いかな(笑)。


では最後にサウンド・インプレッションを。
今回比較したのはオフィシャルCDの国内盤、カタログ・ナンバーCP25-5762だ。

結論からいうと、音もロシア紙ジャケのほうが好みである。
たとえばT-1カム・トゥゲザー」で、「Shoot Me!」の後のバスドラの3連符は紙ジャケのほうがタイトに聞こえるし、 T-2サムシング」のジョージのヴォーカルも、ほんの少しだが透明感が上がったような気がする。
カッティング・レヴェルがかなり違うので、ぼんやりと聞いているとロシア盤のほうが迫力があるように聞こえてしまうのだが、 そういうところを差し引いてもぼくには紙ジャケのほうが好ましかった。

ロシアでこんなにこだわりと愛情に満ちた紙ジャケCDの制作が行われているとは知らなかった。
日本のレコード業界の皆さん、「愛だろ、愛」(ちょっと古かった?)

みなさんのご意見、ご感想をお待ちしております。

© 2004 ryo_parlophone




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