紙ジャケCDの誘惑
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Chapter 8 "ONE OF THESE NIGHTS"
by EAGLES
original : US Asylum 7E1039, June 10,1975
paper sleeve : Wanner Music WPCR-11935, Oct.6,2004 |
Capter 8はいま話題のイーグルスの紙ジャケから『呪われた夜』を取り上げる。
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70年代のほとんどをジャズとモーツァルトで暮らしたぼくは、リアル・タイムのイーグルス・ファンではない。
「テイク・イット・イージー」がラジオから流れてきたときは、爽やかなカントリー・ロックだなとは思ったが、
ポコほどぼくの心を捉えなかった。
イーグルスをはっきり意識したのは「テキーラ・サンライズ」を初めて聞いたときだが、
それだって、グレン・フライの歌い方がずいぶんニール・ヤングに似ているなと思ったのがきっかけだった。
けれども「呪われた夜」はいっぺんで好きになった。
アルバムは買わなかったが、ドン・フェルダーの官能的なギターにはなんとなく胸騒ぎのようなものを覚えた。
そして77年の「ホテル・カリフォルニア」の大ヒット。
イーグルスは日本でもっとも有名なアメリカのバンドの一つになった。
でも今でも一番好きな曲は?と尋ねられれば、おそらく「呪われた夜」と答えるだろうな。
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さて2000年の4CD BOXセットのときも、その後のリマスター・シリーズのときも、ぐっと我慢して旧CDを聞いてきたのは、
いつか必ず紙ジャケでリリースされるだろうと、その日を待ち望んできたからだ。
やっとその日がやってまいりました(笑)。
今回のシリーズは、それ専用のサイトが立ち上げられ、オザワさんなる担当の方が東奔西走しながら
オリジナルに忠実な紙ジャケをめざして奮闘するようすが、ぼくらに伝わってくるようだった。
できあがった紙ジャケはさすがといえる出来で、オザワさんも満足だろう。
ジャケットは米アサイラムのオリジナルを再現し、付属の帯はワーナー・パイオニア(当時)リリースの国内盤の
復刻をめざした。
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オリジナルどおりトップ・ゲイト(ディスクを上から出し入れする)タイプのスリーヴなので、帯は写真のような複雑な
形状になった。
これを製品として工場から出荷するときは1枚1枚手作業でスリーヴに巻きつけるのだろうか。
なお、写真ではかなりの厚紙のように見えるが、これは解説書などがいっしょに写ってしまっているので、
スリーヴ自体は薄めの紙質のものが使われている。
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ディスクを入れるインナー・スリーヴもオリジナルどおり。
左からランディー・マイズナー、バニー・レドン、グレン・フライ、ドン・ヘンリーのオリジナル・メンバーに、
前作途中からドン・フェルダー(左から4人目)が加わって5人組になった。 |
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インナーの裏とディスクを取り出したところ。
ドン・フェルダーが4曲でリード・ギターを担当し、「Visions」ではリード・ヴォーカルも取っている。
CDのレーベルは今やあたりまえのピクチャー・ディスクで、当時のアサイラム・レーベルを再現している。
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付属品も含めてすべてを並べるとこんな感じ。
帯にもずいぶん手間ひまかけられているのがわかるだろう。
一番下の薄茶の紙は、全タイトル購入すると特典としてもらえるボックスの応募券がプリントされたもの。
これも帯を切り取ったりしないようにしてほしい、というファンからの要望に応えるかたちで実現された。
いい仕事してますねえ(笑)。
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さらに解説・歌詞・対訳が記載された16ページにわたる小冊子の最後には、「呪われた夜 : 紙ジャケットの特徴」と題して、
ジャケットや帯、インナーについてはもちろん、スリーヴの紙質や印刷、組み立て方法まで説明された、熱意あふれる解説が掲載されている。
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では、ワーナーからリリースされた国内アナログ盤と比較してみよう。
スリーヴはざらついた手触りのもので、フロントはエンボス加工が施されている。
紙ジャケがこれをかなり忠実に再現しているのは、最初の写真を見ればおわかりいただけると思う。
色もプラケのときはもっとメリハリのついた鮮やかなものだったが、今回は落ち着いたくすんだ感じになっている。
帯の再現性もかなり忠実なもので、この時代に青春をすごした人たちには堪らないだろう。
(いや、ぼくもそうなんですが、リアル・タイムには聞いてなかったので……笑。)
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ちょっとわかりにくいかもしれないけれど、国内アナログ盤に比べるとエンボスの凹凸がかなり大きなものになっている。
オリジナルに忠実なのか、ミニチュアということで誇張されているのかはわからないが……。
バック・カヴァー。
ざらっとした紙質はかなりよく再現されていて、Chapter 2で取り上げた『デジャ・ヴ』とは
忠実度が違う。
国内盤もオリジナル同様薄手の紙を使ったトップ・オープニングだったので、帯は上から折り返す形状になっている。
ちなみに帯裏に紹介されている作品は『オン・ザ・ボーダー』のほかに、オーリアンズ、サウザー・ヒルマン・ヒュレイ・バンドと、
なかなか豪華だ。
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国内盤ではインナーはふつうの半透明のポリエチレン製で、解説書の表紙にオリジナル・インナーの写真が使われた。
裏も同様である。
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レーベルを比べてみる。
国内アナログ盤と比べると、CDのほうが発色が鮮やかである。
オリジナルを知らないので、推測でものをいうのだが、CDのほうがオリジナルに近いのではないか。
根拠?……アップル国内盤からの類推です(笑)。
最後に音質について。
旧CD(20P2-2015)は我が家のミニコンポでプレイすると、ほんとにしょぼい音だったが、
ちゃんとしたオーディオで再生すると、堂々とした音楽を聞かせた。
今回のCD(ソースはおそらく2000年のデジタル・リマスター)は、これと比べると
アナログに近いまろやかな感じが出てきて、
スピーカーのあいだに広がる音場が充実した感じになった。
ただ、これだけこだわった今回の再発だが、リマスターに関するクレジットがまったくないのは残念でならない。
ひとこと申し添えておく。
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