紙ジャケCDの誘惑


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Chapter 12 "LET IT BE"
by BEATLES


US original : Apple AR 34001, May 8,1970
paper sleeve : RUSSIA? VC 04-12, 2004

Chapter 7でロシア製の紙ジャケ『アビイ・ロード』を紹介してからずいぶん時間が経ってしまったが、 今回は同じ時にディスク・ユニオンで手に入れた『レット・イット・ビー』をご紹介しよう。



ロシア製紙ジャケは今ではオリジナル13タイトルが揃っている?ようだが、 『マジカル・ミステリー・ツアー』を別にすれば、 基本的にはUKオリジナル盤の忠実な復刻をめざしているようだ。
『アビイ・ロード』では、両面ヴィニール・コーティングを施したペラジャケにレフト・アップル仕様だった。
けれども『レット・イット・ビー』ではUSオリジナル盤仕様になっている。
当たり前ですね、UKオリジナル盤の復刻となると、ボックス・セットになってしまう(笑)。
さすがにロシアン・スタッフもそこまではできなかったということなんだろう。




こうやって、2つを並べてみると、やはりよくできていると思う。
左がオリジナルUS盤、右が紙ジャケである。
紙ジャケのほうが縮小された写真であるから、品位が落ちるのは仕方ないが、色味などはよく再現できていると思う。
ただ、こうしてくらべてみて初めて気づくのだが、周囲の黒い部分の面積は小さくなっているようだ。

スリーヴはゲイトフォールドで、コーティングのない厚紙製。
バック・カヴァーの4人のポートレイトに白の縁取りがなく、レッド・アップルのマーク、 最下部にはAbkcoのクレジットが入っているのもUSオリジナルどおりだ。


ゲイトフォールドのカヴァーを開いたところ。
画像では確認できないが、ジャケット用の紙の貼り付け方などもオリジナルと同じ形式になっている。

内側もコーティングはない。
UK盤では『GET BACK』と題された写真集からピック・アップされた、イーサン・ラッセルによる写真も、 縮小されているからピントなどは甘くなっているのだが、かなりきれいでついつい見入ってしまう。
色の再現性でいうと、『アビイ・ロード』とは逆に、紙ジャケのほうが少し寒色系に傾いているかもしれない。
CDはピクチャー・レーベルで、レコードのB面を再現したもの。
レコードの溝まで入れられているが、『アビイ・ロード』と同様、あまり感心したできばえではない。
インナー・バッグはレーベルを原寸大に復刻したもので、こちらはとてもよくできている。
ちなみに「Maggie Mae」のクレジットは「P.D.」だ(笑)。


一式を広げたところ。
帯と歌詞カードがついている。



ロシア語の対訳までついていて、まさに至れり尽くせりである。

では最後に音質について、オフィシャルCD(国内盤)とくらべたインプレッションを述べておこう。

たとえばT-3の「Across the Universe」では ジョンのヴォーカルがオフィシャル盤より太くて、フェイザーがかかったように聞こえる。
フィル・スペクターによって重ねられたオーケストラとコーラスも、オフィシャルでは美しく響くが このCDではもっとくすんだ感じで、ウォール・オヴ・サウンドの感じはこちらの紙ジャケのほうが よく出ていると思う。
T-4の「I Me Mine」でも、オフィシャル盤のジョージの声は細くて繊細だが、このCDではもっと 太くて、ややかすれたように響く。
左右のチャンネルに入っているテレキャスも、オーヴァードライヴされて歪んだ感じが強調されている。

ごく荒っぽいまとめ方をすると、この紙ジャケCDは音質の点でもUSオリジナル盤の再現をめざしているように思う。
繊細さや美しさより厚みや迫力を感じさせる音だ。
それに対してオフィシャルCDは当然、UKオリジナル盤に傾向としては似ている。
最近USオリジナル盤の魅力にあらためて気づかされたぼくとしては、けっこう好きです、この音(笑)。

© 2005 ryo_parlophone




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