紙ジャケCDの誘惑


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Chapter 17 "THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST"
by THE ROLLING STONES


original :DECCA TXS (TXL) 103 , Dec.8, 1967(UK)
     :LONDON NPS (NP) 2 , Dec.9, 1967(US)
paper sleeve : Universal Music UICY 93026 , Mar.16, 2006

すべてのストーンズ・ファンが待ちわびた?DECCA / LONDON 時代の紙ジャケがついに発売になった。
今回はそのなかでも変形ジャケとして期待の高かった『サタニック・マジェスティーズ』を見ていこう。



ところで、このアルバムは長いあいだ、ビートルズの『サージェント・ペパーズ』に影響を受けて サイケデリックな世界に迷い込んだ、ストーンズの失敗作…というような扱いを受けてきた。
最近でこそ、このアルバムの価値を正当に評価する風潮が生まれてきてそれは喜ばしいことなのだけれど、ぼくのように 同時代的に聴いてきた人間からすれば、このアルバムのポップでサイケな世界はドラッグ的な魅力を持っているので、 このアルバムを聴くたびに青春期の"シュトルム・ウント・ドランク"の時代に戻ってしまう人も多いだろう。
CMにもなった「シーズ・ア・レインボウ」や、数年前ライヴに登場してファンを驚かせた 「2000 light years from home」だけではなく、「the lantern」や「2000 man」、 ラストの「on with the show」などポップな佳曲が揃っている。
そして見逃せないのがA面ラストの「sing this all together(see what happens)」。
だれも言わないけれど、この曲はジョンをすごく悔しがらせたんじゃないだろうか。
それが『ホワイト・アルバム』の「Revolution 9」に繋がったと、ぼくは勝手に推測しているのだが…(笑)。

ではまずオリジナルのUK盤からご覧いただこう。




ヴィニール・コーティングされたゲイトフォールド・スリーヴに3Dカードが貼られたジャケットは大変に美しく楽しいものだ。



画像が立体的に見えたり、見る角度によってなかの絵が変化するしかけは、60年代に明治製菓から出ていたマーブル・チョコレート などのオマケで子どもたちにも人気のあったものだ。
5センチ四方ぐらいのシールにイラストが描いてあって、角度を変えるとアトムになったり妹のウランになったりするのには 最初びっくりしたものだ。

ゲイトフォールドの内側にはコーティングがない。
左側は迷路、右側は宗教画を中心に天体観測所や宇宙の絵を組み合わせたりして、いかにも60年代後半のサイケデリックなデザインになっていて、眺めているだけでも楽しめる。
3Dカードの画像やジャケット・デザインは『サージェント』でおなじみのマイケル・クーパーが担当している。



ちょっと見ると、ビートルズの『フォー・セール』やゼッペリンの『V』のように内側からレコードを取り出すように見えるが、 実際には右外から取り出す、ふつうのスリーヴだ。

バック・カヴァーには曲目や著作・アレンジ、デザイン関係のクレジット、 およびDECCAのロゴとカタログ・ナンバーがプリントされている。
特記されているのはピアノのニッキー・ホプキンス、「シーズ・ア・レインボウ」のストリング・アレンジの ジョン・ポール・ジョーンズ、そしてレコーディング・エンジニアのグリン・ジョーンズだ。
バック・カヴァーのイラストはtony meeviwiffen(読めません…笑)。
スリーヴの製作会社はRobert Stace & Co. Ltd.だ。




STEREOのシールが貼ってあるが、じつはモノラル用のスリーヴだったことがスパインを見るとわかる。

ぼくが持っているレコードは1st プレスではないので、DECCAのロゴの周りに四角い枠のついた、 いわゆるボックスド・デッカになっているが、1st プレスは枠のないオープン・デッカだった。
マトリクスはA面がZAL-8126-T2-4K、B面がZAL-8127-T2-7Kで機械による刻印である。
インナーバッグは『サージェント』によく似た感じの赤白のカスタム・インナーがついている。




なお、UK DECCAのレーベルの色は、ふつうステレオが紺でモノラルが赤だが、このレコードだけは ステレオがライト・グリーンでモノラルはライト・ブルーだったようだ。

ではつづいてUS盤。




コーティングのない厚紙のゲイトフォールド・スリーヴに3Dカードが貼られている。



糊のせいでジャケットが変形しているようにも見える。

ゲイトフォールドの内側はUK盤もコーティングがないので顕著な違いはないが、 例によってスリックを上から貼り付けただけの簡便な作成法がとられている。



US LONDONのロゴ(光ってよく見えないが)と、カタログ・ナンバーの部分。
珍しくステレオ専用のスリーヴのようだ(笑)。

レーベルもUS LONDONの紺色のもの。
STEREOPHONIC」ではなくて「LONG PLAYING」と書かれていたのでちょっと期待したのだが、 ふつうのステレオ盤だった(笑)。
マトリクスはA面がZAL-8126-1F、B面がZAL-8127-1Fで、ひょっとすると1st プレスかもしれない。
両面にBell Soundの刻印がある。
インナーバッグはUK盤と同じ赤白のカスタム・インナーだ。




ここでUK盤とUS盤をちょっと比べてみよう。
まずフロント・カヴァー。
右がUK盤だ。
コーティングの有無だけじゃなく、微妙に色合いも違っている。
3Dカードはおそらく英米それぞれで製造されたのだろうが、ほとんど差異はないように見える。



インナーもわずかに色味が違う。
こちらも右側がUK盤。



さていよいよ紙ジャケである。
ちょっと引っ張りすぎ?(笑)




US盤に準拠しているので、コーティングのない厚紙に3Dカードが貼られている。
画像には縦にたくさんの筋が入っているが、これはカメラの関係で、じっさいにはまったく見えない。

ゲイトフォールドの内側もよくできているが、紙ジャケの宿命でうまく広がらない。



ニス塗りのような光沢のある美しいスリーヴだが、ずいぶんスパインが厚いのと abkcoのロゴ!



レーベルはピクチャー・レーベルでオリジナルとはかけ離れているが、インナーは再現されている。
ただし紙質がやや厚い(←だれもそんなとこまで気にしないか^^;)




それではフロント・カヴァー、バック・カヴァー、インナーの順にそれぞれUS盤と紙ジャケを比べてみよう。







なかなかよくできているとは思うのだが、やはりオリジナルはUK盤である。
US盤に準拠した点に大いに引っかかるのはみなさん同じであろう。

ではここで、今回いちばん評判の悪かった3Dカードの部分を比較してみよう。
まずUK盤(左)とUS盤(右)である。




UK盤では左端のチャーリー・ワッツと右端のビル・ワイマンがそれぞれ内側を向いているように見えている。
それに対してUS盤では、ブライアン・ジョーンズが右のビルを見ている。
(これはもちろん、撮影した角度が微妙に違ったためにたまたまこんなふうに写ったのだが、) 中央のミックの両手はどちらも外に出ているように見える。

では紙ジャケと、比較のために国内盤を見ていただこう。




紙ジャケは背景の惑星や山、それにお城の塔などがブレているように見えるので、3Dであることがわかる。
しかしメンバーの画像ははっきり固定されている。
これがファンのみなさんが怒っている「なんちゃって3D」(by路傍の石さん)だ。
右側の国内盤を見ればわかるように、正面を向いた画像しか使用されていないわけだ。
ミックの両手は服のなかに完全に隠れている。

ちなみにこの国内盤は1968年になってリリースされた国内初盤で、レコード番号がSLC 192というもの。
じつは前年にキング・レコードから発売されたものはイギリスからの直輸入盤に解説をつけたもので、 定価がふつうより高かった(たしか2,200円)ので手を拱いていたのだ(笑)。
しかしこの国内盤、今聴いてもなかなかいい音です。



ちなみに『サージェント』のジャケットに「WELCOME THE ROLLING STONES」と書いてもらったお礼に、 4人の顔を載せているのだが、オリジナルのジャケットではどこにあるやらまったくわからない。
今回は国内盤のジャケットからその部分を拡大して載せておこう。




左端、チャーリーの肩の左にポール、その横にジョージ、 右端、ビルの腕の下あたりにジョン、その右上にリンゴが写っている。

最後に02年にリリースされたSACDとのハイブリッド盤を見ておこう。

写真の上にある「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」というタイトルにびっくりするかもしれないが、 これはシュリンクの上に貼ってあるので、それを外せば…

はい、このとおり。



銀紙のような光沢のある紙の上にプリントされているので3Dジャケではないが、独特の存在感を持っている。

デジパック仕様でゲイトフォールドの内側を再現している。



ブックレットはついておらず、オリジナルのクレジットとリイシュー関係のクレジットがある。



CDはピクチャー・レーベルで今回のものと基本的には同じものだ。

© 2006 ryo_parlophone




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