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紙ジャケCDの誘惑
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Chapter 6 "GETZ / GILBERTO" |
by STAN GETZ - JOAO GILBERTO |
original : Verve V6-8545, 1963 |
paper sleeve : 1st issue POLYGRAM POCJ-9012, July 26, 1995 |
2nd issue Universal Music UCCV-9151, Sept. 1, 2004 |
Verveレーベルの60周年を記念して、60枚の紙ジャケCDがリリースされる。
その第1弾として9月1日に20枚が発売された。
なんといってもうれしいのは、バド・パウエルの『ジャズ・ジャイアント』の初紙ジャケ化であるが、
もうひとつ期待していたのが「スープリーム・サウンド・エディション」と銘打たれたシリーズ。
これはメイカーのコピーを引用すると、
「日本が世界に誇るエンジニアのオノ・セイゲン氏が、ニュージャージーのテープ倉庫に厳重に保管されているオリジナル・マスターテープを
現地でデジタル・トランスファー。そのデータを日本に持ち帰り、1-bit/DSDでリマスタリング。従来のCDとは一線を画す、
至高のアコースティック・サウンドを再現しました」ということになる。
じつはこのDSDマスタリングにすごく期待をしていたのだ。
さて、9〜10月にかけては紙ジャケCDのリリース・ラッシュになるので、あまり無駄遣いをするわけにもいかない。
それで1枚だけ『ゲッツ/ジルベルト』を買って、従来の24bit/96kHzデジタル・リマスタリングCDと聴き比べてみた。
リマスタリング・エンジニアは前回がKikuo Niikura氏、今回はSeigen Ono氏のクレジットである。
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左がポリドールから出た旧紙ジャケ。右はユニヴァーサルからリリースの新紙ジャケ。
今回はヴィニール・コーティングになり、発色も鮮やかだ。
レイアウトが違うのは旧紙ジャケがモノラル盤、新版がステレオ盤を基にしているからだ(と思う)。
つまり1枚のプリントの上部にSTEREO表記、下部にMONO表記をしておき、ステレオ盤の場合は上にシフトして使用し、
モノラル盤の場合は下にシフトして使うという、US盤にはよく見られたいかにも合理的(?)なジャケット作成法だ。
ステレオ盤優先でデザインされているようで、旧紙ジャケのVerveのロゴ・マークはなんとなく落ち着きが悪い。
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バック・カヴァー。
オレンジの部分はまったく別の色のように見えるけれど、どちらがオリジナルに近いのだろう。
左側、旧紙ジャケの中央下にあるのは国内盤のカタログ・ナンバー、右、新紙ジャケの左下にあるのは
オリジナルにあったMGMのクレジットだ。
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ゲイトフォールド・カヴァーの内側には当日のスタジオの写真と、Gene Leesという人のライナーノウツが記載されている。
写真左からジョアン・ジルベルト(g,vo)、アントニオ・カルロス・ジョビン(p)、
スタン・ゲッツ(ts)。映ってはいないが当日たまたまスタジオに遊びに来ていたアストラッド・ジルベルト(vo)。
今から考えるとすごいメンバーである。
1曲目ご存知「イパネマの娘」を聴いてみた。
まずジョアンのヴォーカル。従来のCDでは、なんとなく頼りなげな風情が、そこはかとなくいい雰囲気を醸し出していたのだが、
今回のマスタリングは張りのある瑞々しいもの。
う〜ん、なんかイメージが違うなあ…(汗)。
つづいてアストラッドのヴォーカルですが、
す、すごい。ひっくり返りそうになりました。
なんとしなやかでしとやかで美しいこと!思わず鳥肌が立ってしまった。
ベースも明らかに粒立ちがよくなって、しっかり鳴っている。
そしてスタン・ゲッツのサックスの生々しいこと。旧紙ジャケでも、サックスはじゅうぶん美しかったのだ。
でも聴き比べると明らかに違う。
もう元には戻れない……。
…はずだったのに…あれ?
つぎはアントニオ・カルロス・ジョビンのピアノ。従来のCDでは歪っぽくて、けっしていい音とはいえなかったのだ。
ところが今回は歪っぽさはやや改善されたものの、ちょっと引っ込んでしまった。
さらに定位も変わってるぞ。
従来のものは右チャンネルにベースとドラムス、左チャンネルにアストラッドのヴォーカルとピアノだったのに、
新しいCDではそっくり入れ替わっている。
アナログ盤ではどうだったかな、と思ってレコード棚から取り出そうとすると、
ない!なくなってる!売っちゃったんだあ!!!
どなたかオリジナルの音を教えてください!!
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2004/09/05
追記:MASAさんや紙ジャケ探検隊さんから、今回の定位のほうがオリジナルどおりであるという報告を受けました。
ありがとうございました。
その結果、旧紙ジャケは珍しい逆ステということになり、売っ払うことができなくなりました(笑)。
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2004/09/06
© 2004 ryo parlophone
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