BEATLESのアナログ盤

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BEATLES FOR SALE

今回は64年のクリスマス・シーズンに間に合わせるためにやや性急に作られたにもかかわらず、 独特のフォーキーな香りでコアな人気のある『ビートルズ・フォー・セール』を取り上げます。

ある時期このアルバムが本当に好きだったことがありました。 とくにA面からB面1曲目までは、今でも大変な充実度だと思っています。 まず冒頭の「返事がない」、「ぼくは負け犬」、「黒いドレスの彼女」(© ryo parlophone)のジョンの作品3連発がすごい! 歌詞はすべてマイナス思考で、次の『ヘルプ!』に繋がっていくジョンの心境がすでに表れています。

つづいてジョンのチャック・ベリーのカヴァー「ロックン・ロール・ミュージック」 と、 ポールのリトル・リチャードのカヴァー「カンサス・シティKansas City〜Hey Hey Hey Hey!)」という 2つのロックン・ロール・ナンバーにはさまれるように置かれた2曲は、 ポールは太陽を追いかけ(アイル・フォロー・ザ・サン)、 ジョンは月の光を恋う(ミスター・ムーンライト)という大変に練られた構成になっています。
以前別のところにも書きましたが、これでB面の「Honey Don't」と「みんないい子」 の代わりに、当時のシングル「アイ・フィール・ファイン」「シーズ・ア・ウーマン」の2曲が入っていたら すごいアルバムになっていたと思うんですが……(笑)。

ではまずUKオリジナルのイエロー・パーロフォンから。



ビートルズにとっては初めてのゲイトフォールド・カヴァー、表と裏のカラー写真はロバート・フリーマンが ロンドンのハイド・パークで撮影しています。
特にフロントのにこりともしていないポートレイトは「疲れきった表情の4人」などと評されることもありますが、 アルバム・タイトルの文字の小ささと併せて考えるなら、ニコニコ写真を拒否するアーティスト精神の表れと取ることもできると思います。

このアルバムから、パーロフォンのロゴの横にEMIのロゴマークも並ぶようになります。 monoの表記は初めて白抜きになりました。



ゲイトフォールドの内側。
左側には曲目とともにデレク・テイラーのライナーが載せられており、 この中に本サイトのトップ・ページに引用した「一世代かそこいら後になって…」という文章が入っています。
ライヴの写真はワシントンDCにおけるファースト・ライヴの模様で、ポールはおなじみのヘフナー500/1、 ジョージはグレッチのカントリー・ジェントルマン、ジョンはリッケンバッカー325を抱え、 後にはヴォックスのアンプが写っています。
右側の写真は「LET IT BE」のセッションで有名になるトゥイッケナム・スタジオで、 映画『ア・ハード・デイズ・ナイト』の試写の後に撮った写真ですが、 これがのちに『サージェント・ペパーズ』のジャケットのアイディアに繋がってゆくんだそうです。
撮影はいずれもロバート・フリーマン。



レコードは日本のジャケットとは違って内側の取り出し口から出し入れするようになっています。



上下に折り返しのあるフリップ・バックのスリーヴは製造会社の表記がどこにもありません。

スパイン(背表紙)は上下が絞ってあるタイプ。





レーベルはおなじみのイエロー・パーロフォンで、スピンドル・ホールの上にセントラル・リマーク (「SOLD IN U.K.SUBJECT TO RESALE PRICE CONDITIONS,SEE PRICE LISTS」)があります。



リムのコピーは「THE PARLOPHONE CO.LTD〜」で始まるタイプで、 レーベル左側の表記は「RECORDING FIRST PUBLISHED 1964」となっています。
今回はタックス・コード「KT」の刻印のあるSide-2の写真を撮ってみました。

マトリクスはXEX503-4N、XEX504-4Nで、『フォー・セール』の場合はこれがセカンド・プレスになります。 マザー番号とスタンパー・コードはSide-1が38/GLL、Side-2が28/AOTですから、 A面は38番目のマザー、188番目のスタンパーから、B面は28番目のマザーで、 309番目のスタンパーからプレスされたことを表しています。 ディスクはずしりとした手ごたえがあり、重量は190g。
インナー・スリーヴは「USE 'EMITEX'」と書かれたおなじみのもので、中央がパラフィンの半透明タイプです。


次は、2EMIマークスのシルヴァー・パーロフォン、ステレオ盤です。
(レーベルがシルヴァー・パーロフォンになってすぐにモノラル盤は廃盤になってしまったので、 ビートルズのレコードでシルヴァー・パーロフォンのモノラル盤というのはたいへん希少な存在です。 ぼくは『サージェント・ペパーズ』のシルヴァー・パーロフォン、モノラル盤を見たことがありますが、 もちろんびっくりするようなプレミアがついていました。)



イエロー・パーロフォン盤と比べるとバック・カヴァーの色味はずいぶん黄色寄りです。 相変わらず、ポールの頭髪の修正が不自然ですね(笑)。



このジャケットもフリップ・バックで内側に折り返しがあります。



70年から73年にかけてプレスされた、リムのコピーが「THE GRAMOPHONE CO.LTD〜」で始まるタイプで、 マトリクスはYEX142-1、YEX143-1、マザー番号/スタンパー・コードはA面が16/GL、B面が168/HG。 70年代に入ってもやはりマトリクスの枝番が-1というのはステレオ盤が売れなかったということなのでしょうか。 それにしても1枚のラッカー盤から168ものメタル・マザーを取るというのもすごい話ですね(笑)。
インナー・スリーヴは広告入りで、ディスクの重量は160g。


つづいて国内盤です。
邦題は『ビートルズ'65』で、これは当時発売されていたUS盤のタイトルです。 ジャケットも収録曲もUKオリジナル盤に準拠しているのに、タイトルだけはUS盤から取るというセンスがわかりませんが(笑)、 こちらのほうが当時の国内では売りやすかったのでしょうか。65年3月のリリース。



「BEATLES FOR SALE」という文字はずいぶん大きくなり、この後しばらく使われる緑の矢印つきステレオ・ロゴが添えられています。 Odeonレーベルでレコード番号はOP・7179



内側もUK盤に準じています。ただし取り出し口は外側。
解説は木崎義二さんです。



広告入りのインナー・スリーヴに収められていて、レギュラーは赤盤ですが黒盤も存在します。
別紙歌詞カードつき。

4枚目にご紹介するのは86年6月に発売された限定モノラル盤です。レコード番号はEAS-70133



来日20周年特別企画と書かれた赤帯つき。
今までここに書いてある内容について触れたことがなかったので、今回はその文章を読んでみましょう。

カラー・レコード
アビイ・ロード・スタジオ・オリジナル・マスター
英国カッティング
来日20周年特別企画
限定発売
オリジナル・モノーラル
レコード

ビートルズ全盛の1960年代はレコードの録音方式がモノーラルからステレオへ移行する時期であったため デビュー・アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」から10作目の「イエロー・サブマリン」までは基本的にモノーラル・レコーディング で行われました。
後に発売されたステレオ盤はこのモノーラルを基本として編集されたもので当時の編集技術や音のバランス等を考えると、 このモノーラル・レコードこそビートルズ・サウンドの最も自然な音作りを再現しているといえましょう。

「10作目の『イエロー・サブマリン』まで」?「後に発売されたステレオ盤」?
ま、おかしな表現もありますが、なかなか惹かれるコピーではあります(笑)。

レーベルはEMI/Odeonで、見開きではなくシングル・ジャケットで発売されました。 レコードは赤盤ですが、Odeonの赤盤とは盤質も色も違います。



左が65年の赤盤,右が86年の赤盤です。

ビートルズ・シネ・クラブ サウンド研究会による解説と歌詞・対訳がついています。


最後はモービル盤です。



ORIGINAL MASTER RECORDING」というロゴは茶色の帯状のラインの上に書かれています。 「BEATLES FOR SALE」のロゴは細いままですが、大きさはずいぶん大きくなっています。やはりアメリカらしい(笑)。
87年3月のリリースで、写真の画質はお世辞にもいいとはいえませんが、 つやのある上質なゲイトフォールド・ジャケットに収められています。



パーロフォンのマークのほかに、モービル・フィディリティーのマークとEMIのロゴもついています。
レーベルはおなじみホワイトで、上部にモービル・フィディリティーのロゴがブラウンで印刷されています。
インナー・スリーヴをはさむ台紙の写真が大袈裟で笑わせてくれます(笑)。




なお、各レコードの音質評価については モービル・フィディリティ・サウンド・インプレッション をご覧ください。




© 2004 ryo parlophone




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