BEATLESのアナログ盤


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今回は65年のUKオリジナル・アルバムとしては5枚目に当たる『ヘルプ!』をご紹介します。
ぼくがUKのモノラル盤を集めようと思ったきっかけが、実はこの『ヘルプ!』だったのです。
皆さんご存知のように、ビートルズの曲にはステレオとモノラルでミックスの違うものがたくさんありますが、テイク違いと いうのは意外に少なく、「プリーズ・プリーズ・ミー」と「Hold Me Tight」、それに このアルバムの表題曲「ヘルプ!」しかありません。 (モノラル同士のテイク違いは、有名な「ラヴ・ミー・ドゥ」をはじめもう少しあります。)
「ヘルプ!」では歌詞の一部が違うのですぐわかります。
1番の歌詞でステレオでは「But now these days are gone〜」という部分がモノでは 「And now these days are gone〜」と歌われ、 さらに「And opened up the doors」のところがモノラル盤では 「I've opened up the doors」と歌われます。
ジョンのヴォーカルもモノのほうが全体的に荒々しい感じになっています。

さて、このアルバムではカヴァーが2曲収められていますが、このカヴァーがまたいいんですね。
リンゴの軽快な「アクト・ナチュラリー」とジョンの絶唱「ディジー・ミス・リジー」です。
そしてこれ以降アルバムにカヴァーが収録されることはなくなりました。
ビートルズがアルバム・デビューして2年半。アーティストとしての進化と深化はこのアルバムあたりから加速度的に進ん でゆくことになります。

ではまずUKオリジナルのイエロー・パーロフォン・レーベルから。



アルバム『ヘルプ!』は同名タイトルの第2弾主演映画のためのサウンド・トラックとして企画されましたが、 前作のドキュメンタリー・タッチとは打って変わって、当時大人気だった『007』シリーズを初めとするスパイ映画のパロディーのような コメディー・タッチの映画になり、ジャケットはスイス・アルプスの雪景色を思わせるような、白を貴重としたシンプルなものになりました。 ジャケットとしては一番面白みがないかな、と思ってしまいます。
リリースは1965年8月6日でモノラル盤のレコード番号はPMC 1255。 前作に続いてEMIロゴが加わりmonoの表記も同じく白抜きになっています。

三方向に折り返しのあるフリップ・バックのスリーヴはGarrod & Lofthouse社製で、『ヘルプ!』に関しては、 Ernest J.Day社製が存在しないようです。



今回はタックス・コードについて触れておきたいと思います。
上の2枚はいずれもマトリクスがXEX549-2XEX550-2というファースト・プレスです。
写真左はタックス・コード「MT」で、Side-1はマザー番号5、スタンパー・コードはPP66番目のスタンパーから、 Side-2はマザー番号3、スタンパー・コードはTL98番目のスタンパーからプレスされたことを表しています。
写真右はタックス・コード「KT」で、Side-1はマザー番号48、スタンパー・コードはAG31番目のスタンパーから、 Side-2はそれぞれ7LAで、7番目のマザー、83番目のスタンパーからプレスされたことを表しています。
タックス・コードは英国のレコードへの課税に関する刻印ですが、EMIの資料によると62年4月10日から「ZT」、 11月26日から「PT」、63年1月1日から「MT」、11月1日から「KT」と変わっていきます。
したがって『ヘルプ!』は「KT」のはずですが、ご覧のように「MT」刻印のものもあり、 マザー番号が若いということはアーリー・プレスであることを示しています。
仮に1枚のマザーから100枚のスタンパーが、1枚のスタンパーから2000枚のレコードがプレスされると考えると、 1枚のマザーから約20万枚のレコードができることになります。
『ヘルプ!』のばあい予約が25万枚でしたから、「MT」のほうはひょっとすると初回出荷分かもしれません (つまり発売日当日にレコード店に並んだやつですね)。

こうやって2枚並べてみると「PARLOPHONE」の大きなロゴとリマークの間の間隔や、 タイトルと曲目の間の間隔など、微妙にレイアウトに違いがあることがわかります。

レーベルのリムのクレジットはこのアルバムから「THE GRAMOPHONE CO.LTD〜」で始まるようになり、 レーベル左側の表記も「(P)1965」という簡略化されたものになります。スピンドル・ホールの上には 「SOLD IN U.K.SUBJECT TO RESALE PRICE CONDITIONS,SEE PRICE LISTS」という、通称リマークがついています。

ディスクは分厚くて重たい重量盤で、いずれの刻印とも200gでした。
インナー・スリーヴは「USE 'EMITEX'」と書かれたおなじみのもので、中央がパラフィンの半透明タイプです。

なお、ポールの(友人)さんからのご教示によると、Side-2の1曲目「Act Naturally」の出版社名が「Lark Music」になっているものと、 「Lark Mus」になっているものとの2種類があり、曲目表示のレイアウトも違っているようですが、どちらがファースト・プレスなのか(あるいは プレスに関係なく存在するのか)まだわかっていないようです。
ちなみにぼくの持っているレコードは「MT」、「KT」両方とも「Lark Music」でした。



左が「MT」刻印のB面です。出版社名は「Lark Music」になっています。 右は参考画像で出版社名が「Lark Mus」になっているものです。
右のレーベルはMASAさんの所有されている『ヘルプ!』のファースト・プレスで、タックス・コード「KT」、B面のマザー番号は18、 スタンパーの番号は133ということです。


つづいて、シルヴァー・パーロフォンステレオ盤を2枚ご覧ください。



まず最初は、ジャケットはフリップ・バックのコーティング・スリーヴでオリジナルと同じ仕様ですが、 表にstereo表記のないタイプで、Garrod & Lofthouse社製。



69年にプレスされた1EMIマーク、リムのコピーが「THE GRAMOPHONE CO.LTD〜」で始まるタイプのレコードです。 広告の印刷されたアド・スリーヴに入っています。

マトリクスはYEX168-1、YEX169-1、マザー番号とスタンパー・コードはA面が3/PO、B面が3/LDとなって います。ディスクの重量は170g。

もう1枚は、70年代中期のプレス。



コーティング・ジャケットですが、裏の折り返しはなく、表にはstereoのミドル・ロゴがついています。



レーベルは2EMIマークスでリムのコピーが「EMI RECORDS〜」で始まる74年以降のタイプです。
マトリクスはYEX168-2、YEX169-1、マザー番号とスタンパー・コードはA面が2/AG、B面が26/GOL
ディスクの重量は165gで、「Important Notice」と書かれたEMIのインナー・スリーヴに入っています。

つづいて国内盤です。
邦題は『「4人はアイドル」サウンド・トラック盤』で、さすがに時代を感じさせるタイトルになってしまいました。
65年9月のリリースで、表ジャケットはUK盤に準じていますが、PARLOPHONEロゴとEMIロゴがないので、 タイトルとアーティスト名が横一列に並び、右端にレコード番号やOdeonのロゴというレイアウトになっています。 前回に引き続きコーティングされたゲイトフォールド・ジャケット。



バック・カヴァーにはUS盤の裏ジャケットの写真とおなじものが使われました。
不思議なのはコーティング・スリーヴでありながら、US盤なみの厚さになっていることで、前作『フォー・セール』があまりに薄くてクレーム でも来たのでしょうか。 Odeonレーベルでレコード番号はOP・7387
初版にはカラー・ポートレイトが付いていました。



内側左は4人のサイン入りのポートレイトがレイアウトされ、右側には星加ルミ子さんの解説がついています。

もうひとつ不思議なことがあります。内側中央が白いテープで補強されていることです。 国内盤の初盤にはこんなふうに補強テープがついていたそうですが、いったいどんな意味があるのでしょうか。
やっぱり『フォー・セール』で苦情が来たのかな。





広告入りのインナー・スリーヴに収められていて、レギュラーは赤盤です。
今回はすべてのレコードの重さを量ってみました。
オデオン赤盤は175g。優秀です。



6枚目にご紹介するのは86年6月に発売された限定モノラル盤です。来日20周年特別企画と書かれた赤帯つき。



レーベルはEMI/Odeonで、ジャケットはシングルで、コーティングはありません。



レコードは赤盤ですが、Odeonエヴァークリーン・シリーズの赤盤とは盤質も色も違います。
重さはぺらぺらの135g。
もともと音がよいのですから、これでイエロー・パーロフォン・レーベルでずしりと重たい重量盤だったら、 とついつい考えてしまいます。
音と重さは関係ないという説もありますが、趣味の世界には満足感というものが重要ですよね(笑)。
ビートルズ・シネ・クラブ サウンド研究会による解説と歌詞および山本安見さんによる対訳がついています。


つづいてUS盤サウンド・トラック。本国より1週間遅れの65年8月13日のリリースです。
皆さんご存知のように「ヘルプ!」のイントロとして、ジョン・バリーの作曲した007のテーマがついているほか、 ケン・ソーン・オーケストラの演奏が6曲収録されています。



カラー写真を豊富に使った豪華なゲイトフォールド・ジャケットになっています。


ぼくが持っているのは70年代に出されたアップル・レーベル盤です。
ディスクの重さは170gで、アップル・レーベルでもちゃんとした重さがあります。

右側一番下の写真で、リンゴの顔や服に夕日の照り返しのような赤い色がついているのは 印刷の汚れなのかなと思っていたのですが、生贄の指輪を嵌めたリンゴが赤いペンキを塗られているのだそうです。 演奏場面だけじゃなく、ちゃんと映画を見ていないとわかりませんね(笑)。



最後にご紹介するのは1985年11月にアメリカのMOBILE FIDELITY SOUND LAB社から出されたステレオ盤です。
レコード番号はMFSL 1-105



ビニール・コーティングではありませんが、艶のある美しいスリーヴで、表裏とも、いちばん上の青い帯状の部分に 「ORIGINAL MASTER RECORDING TM」と表記されています。



レーベルはおなじみ白の上部にブラウンで「ORIGINAL MASTER RECORDING」と書かれたもので、 中央右側にはEMIのロゴマークが入っています。レコードの保護紙は上が臙脂色のタイプです。

なお、音質評価については モービル・フィディリティ・サウンド・インプレッションをご覧ください。

今回タックス・コードおよびスタンパー・コードについては、ロンドンのレコード通販店 YAS U.K.のサイトを参考にさせていただきました。
「アクト・ナチュラリー」の出版社名の表記の違い、およびタックス・コードとプレスの相関性についてはポールの(友人)さんから、 リンゴの服や顔の赤い着色についてはMST!さんとMASAさんからご教示いただきました。 また、レーベルの写真をMASAさんから提供していただきました。 紙面を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

(なお、マトリクス、スタンパー・コードおよびタックス・コードについては Yellow Parlophone Data Baseにも記載しております。)



© 2004 ryo parlophone




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