今回はタックス・コードについて触れておきたいと思います。
上の2枚はいずれもマトリクスがXEX549-2、XEX550-2というファースト・プレスです。
写真左はタックス・コード「MT」で、Side-1はマザー番号5、スタンパー・コードはPPで66番目のスタンパーから、
Side-2はマザー番号3、スタンパー・コードはTLで98番目のスタンパーからプレスされたことを表しています。
写真右はタックス・コード「KT」で、Side-1はマザー番号48、スタンパー・コードはAGで31番目のスタンパーから、
Side-2はそれぞれ7、LAで、7番目のマザー、83番目のスタンパーからプレスされたことを表しています。
タックス・コードは英国のレコードへの課税に関する刻印ですが、EMIの資料によると62年4月10日から「ZT」、
11月26日から「PT」、63年1月1日から「MT」、11月1日から「KT」と変わっていきます。
したがって『ヘルプ!』は「KT」のはずですが、ご覧のように「MT」刻印のものもあり、
マザー番号が若いということはアーリー・プレスであることを示しています。
仮に1枚のマザーから100枚のスタンパーが、1枚のスタンパーから2000枚のレコードがプレスされると考えると、
1枚のマザーから約20万枚のレコードができることになります。
『ヘルプ!』のばあい予約が25万枚でしたから、「MT」のほうはひょっとすると初回出荷分かもしれません
(つまり発売日当日にレコード店に並んだやつですね)。
こうやって2枚並べてみると「PARLOPHONE」の大きなロゴとリマークの間の間隔や、
タイトルと曲目の間の間隔など、微妙にレイアウトに違いがあることがわかります。
レーベルのリムのクレジットはこのアルバムから「THE GRAMOPHONE CO.LTD〜」で始まるようになり、
レーベル左側の表記も「(P)1965」という簡略化されたものになります。スピンドル・ホールの上には
「SOLD IN U.K.SUBJECT TO RESALE PRICE CONDITIONS,SEE PRICE LISTS」という、通称リマークがついています。
ディスクは分厚くて重たい重量盤で、いずれの刻印とも200gでした。
インナー・スリーヴは「USE 'EMITEX'」と書かれたおなじみのもので、中央がパラフィンの半透明タイプです。
なお、ポールの(友人)さんからのご教示によると、Side-2の1曲目「Act Naturally」の出版社名が「Lark Music」になっているものと、
「Lark Mus」になっているものとの2種類があり、曲目表示のレイアウトも違っているようですが、どちらがファースト・プレスなのか(あるいは
プレスに関係なく存在するのか)まだわかっていないようです。
ちなみにぼくの持っているレコードは「MT」、「KT」両方とも「Lark Music」でした。
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