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MAGICAL MYSTERY TOUR
US編集盤として世に出たLP『マジカル・ミステリー・ツアー』は、なかなかゴージャスな内容を持っています。 今回はSide-1の終わりからSide-2の初めにかけてのオリジナル2曲、シングル2曲で比較してみたいと思います。 試聴したのは次の6種類のステレオ盤です。
これら6枚のうち、USオリジナル盤、国内初盤、UK盤、モービル盤は同じマスターを使っていますが、 ドイツ盤は「BEATLESのアナログ盤」のコーナーに記したように、「ペニー・レイン」以下3曲がリアル・ステレオという 独自のマスターを使っています。 おもしろいのはモービル盤で、レーベルにはキャピトル・ロゴではなく、EMIロゴが使われています。 オリジナルのUSキャピトル・マスターではなく、それをコピーしたEMIマスターを使用しているのでしょうか? さて、今回は曲ごとに順位を付けてみました。なんと大胆な試み!ただ、それをここにそのまま記載するのはちょっと気が引けるので(笑)、 Great!!=4点からPoor=1点までの得点を与えて、最終的な順位を付けました。 もちろんいうまでもありませんが、ここに載せたのはぼくの個人的な好みの音質の順位であって、 客観的によい音の順位ではないことをお断りしておきます。 さて、いったいどんなことになりますやら(笑)。 まずA-5「Your Mother Should Know」です。 US盤は盤質のせいか、やや歪っぽく感じます。いきなりのPoor。 国内盤は中域に重点が置かれ、ヴォーカルがリアル。 UK盤はたいへん鮮明な音で、ベースも引き締まった気持ちのいい音を聞かせてくれます。 ドイツ盤はUK盤をぐっとおとなしくした感じで、低域はでてるのですが、やや歪みっぽく感じます。 モービル盤はそれぞれの楽器が見事なバランスで調和しています。Great!! デジ・リマ盤は鮮明でなかなかいい感じですが、なにか余分な響きがあるように聞こえます。 つづいてA-6「アイ・アム・ザ・ウォルラス」。 US盤は分解能に優れ、それぞれの楽器が活き活きと描かれます。擬似ステレオはちょっと不自然。 国内盤は低域不足でうすっぺらな音に聞こえてしまいます。Poor。 UK盤はこの曲もやはりたいへん鮮明です。ただ少しドンシャリに感じます。 ドイツ盤はこの曲の新しい魅力を引き出すようなマスタリング。 右チャンネルの弦と中央のベースが中心になって曲を展開してゆく感じに聞こえるのです。 擬似ステレオは不自然な感じがありません。イントロのメロトロンは6拍。Great!! これに対してモービル盤は、常に右チャンネルの弦が鮮明に響き、この弦によって曲が引っ張られていく感じで、 また違った味わいがあります。Great!! デジ・リマ盤は右チャンネルの弦が控えめで、ジョンのヴォーカルが前に出ます。低域はじゅうぶん出ていますが、 音程がぼやけてしまうのが残念。当然ですがイントロのメロトロンは6拍です。 B-1の「ハロー・グッバイ」はどうでしょうか。 US盤は低域が薄く、音が固まりになって聞こえます。 国内盤は逆に、それぞれの音が互いに主張しあってややうるさく感じてしまいます。 UK盤もうるさい感じがして思わずヴォリュームを絞ってしまいました。左チャンネルのピアノのエコーが大きめです。 ドイツ盤は全体的に歪っぽい感じであまりよくありません。Poor。 モービル盤も似たような印象ですが、バランス的には一番いいかな。 デジ・リマ盤は国内初盤によく似た感じ。 そしてB-2、ジョンの不朽の名作「ストロベリーフィールズ・フォーエヴァー」。 US盤は中域にポイントが置かれた感じで、ジョンの声が前に出ます。弦もリアルに響きます。 国内盤はUS盤よりさらにジョンの声が見事に再現されます。ソードマンデルの余韻が美しい。 UK盤はひとつひとつの音は鮮明なのですが、それぞれがせめぎあってうるさく感じてしまいます。弦はソノリティーが豊かです。 ドイツ盤はバランスが見事です。それぞれの楽器がきちんと表現され、音楽に深みを与えています。Great!! モービル盤はジョンのヴォーカルが神経質な感じで耳障りに響きます。 デジ・リマ盤はこの5枚の中でいちばん綺麗にまとまっているかもしれません。 さて、採点表です。
意外にも単純明快なポールの「ハロー・グッバイ」は、ぼくの装置ではどれもうるさく聞こえ、ヴォリュームを下げざるを得ませんでした。 それに対して回転数を上げたり下げたり、2つのテイクをつなぎ合わせたりと、 ジョージ・マーティンを悩ませた「ストロベリーフィールズ」は、どのディスクもそれなりにうまく聞かせてくれました。 予想に反して、デジリマ盤が意外に健闘しました。ちょっと見直したかも……(笑)。 みなさんの部屋、みなさんの装置ではどんなふうに聞こえるのでしょうか。 |
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