紙ジャケCDの誘惑


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Chapter 20 "ABRAXAS"
by SANTANA


original :US COLUMBIA PC 30130, Oct.1970
paper sleeve : Sony Music MHCP 998, May 3, 2006

5月3日にリリースされたサンタナの紙ジャケを、アナログ盤や過去にリリースされたCDと聴き比べるシリーズの第2回、 Chapter20 は2ndアルバム『天の守護神 ABRAXAS』である。



紙ジャケはコーティングのないA式のゲイトフォールドで、USオリジナルを復刻している。
細密に書き込まれたアブドゥル・マティ(マイルズの『ビッチズ・ブルー』やジャッキー・マクリーンの 『デイモンズ・ダンス』でおなじみですね)のイラストもよく再現できている。
ただぼくの持っている国内盤は銀紙のような光沢のある紙質のものにプリントされているので、色の深みがかなり違って見える。
残念ながら紙ジャケは鮮やかすぎるのだ。



ゲイトフォールドの内側はステージの写真をつかったもの。
なぜか国内盤ではメンバーのクレジットが消されているようだ。



US初盤に貼られていたというTIME誌のステッカーやオリジナル・インナーのほかに、 US盤や国内初期盤についていたポスターなども復刻されているので付属品がにぎやかだ。



ぼくが持っているのは国内盤SQ-4(カタログ・ナンバー SOPN 44004)で、リアル・タイムに購入したと思っていたが 今回調べてみると入手は1972年の9月になっていた。
やはり大型のポスターがついていて、裏に中村とうよう氏の解説が載せられている。





さて、今回CDと比較してみて初めてわかったのだが、なんとアナログ盤は通常のCDとミックスが異なるのだ。
4ch.用のミックスだから違うのはあたりまえなのだが、2ch.で聴くときには同じ音像が広がると思っていた)

たとえば「ブラック・マジック・ウーマン〜ジプシー・クィーン」を聴いてみると、まずLPはフェイド・インしないのにびっくりする。
1曲めの「風は歌い、野獣は叫ぶ」が終わると曲間の無音の部分があって、最初のオルガンのイントロ(♪レ〜ミ〜/レ〜ミ〜/♪の繰り返し) の1音めからきちんと鳴る。
しかも左ch.〜中央〜右ch.〜中央と移動するのだ。
すぐにもうひとつのオルガンが左ch.から鳴り始め、ギターは右ch.にやや小さめにミックスされている。
さらにびっくりしたのはギターが印象的なテーマを弾き始めると左ch.でクラベスがラテン・リズムを刻むのだ。

あわててCDを聴いてみるが、こちらにはクラベスの音はまったく聞こえない。
いやあ、72年にこのアルバムを買ってから34年間聴きつづけてきたと思っていたら、 じつは最近はすっかりCDのほうに馴染んでいたんですね。

ついでなのでそれぞれの楽器の定位を表にしてみた。
まったく違うミックスである。

M-2SQ LPpaper S.CD
organ AL〜C〜R〜CLeft
organ BLeftLeft
guitarRightCenter
vocalCenterCenter
bassLeftCenter
drumsR→LR→C
clabesLeft-
cowbellCenterRight
timbalesCenterRight
congaRight?Left
bongoLeft?Right
guitar soloR〜C〜L〜CCenter
voiceL〜RCenter

(註:表にはコンガより高い音が反対のチャンネルから聞こえるのでボンゴと記載しているが、 ひょっとしたらコンガが複数録音されているのかもしれない。)

「ブラック・マジック・ウーマン」から「ジプシー・クイーン」に繋がっていく部分では オルガンも左右のチャンネルを移動するようになり、ギターは最後のフィードバックまで右に左に忙しく移動する。
好みもあるかも知れないが、この音を聴いたあとでCDを聴くと、なんだかすごくおとなしくて拍子抜けしてしまうほどだ(笑)。

3曲めの「Oye Como Va ぼくのリズムを聞いとくれ」も、CDではイントロ始まってすぐに左ch.で聞こえる 「ブルルル〜〜、サボ〜レ!」みたいな掛け声がLPではほとんど聞こえない。
また左ch.のギロがLPではかなり大きめにミックスされている。

オルガン・ソロの直前の最弱音部で、LPではオルガンの音が逆相のようにスピーカーいっぱいに広がり、 さらにそこに楽器のノイズのようなカラカラ〜という音がかなり大きめに入っている。
またLPでは左ch.のオルガン・ソロのあいだ、右ch.でエコーのかかったリズム・ギターが大きめにミックスされているが、 このギターがじつにファンキーなカッティングを聞かせてくれる。

4曲めの「ネシャブールのできごと」はこのアルバムのなかでぼくがいちばん好きな曲だが、 いったんテンポが遅くなってボレロのリズムになっていき、またテンポ・ダウンする中間〜終曲部で、 アルベルト・ジアンキントのピアノが左右のスピーカーのあいだに広がりをもってミックスされ、 この曲の美しさを際立たせている。

個人的にはこのSQ盤のミックスのほうが好みだ。

今回のCDに付属しているウイリーナガサキ氏のライナーを読んで、初めて「ネシャブールのできごと」がフランスの植民地支配と 闘ったハイチ人をテーマにしていることを知った。
つまりチャールズ・ミンガスの「ハイチアン・ファイト・ソング」と同テーマなのだ。
あらためてその美しさに思いを馳せる。

『キャラヴァンサライ』を見る

© 2006 ryo_parlophone




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